2007 Fiscal Year Annual Research Report
高感度LC-MS分析を実現する質量分析用ラベル化試薬の創製と応用展開
Project/Area Number |
17350039
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 孝治 Keio University, 理工学部, 教授 (80154540)
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Keywords | メタロミクス / 環境分析 / 質量分析用ラベル化試薬 / 金属イオン / 生体試料 |
Research Abstract |
これまでに様々なタイプの質量分析用プローブ(MSプローブ)を設計・合成し、ラベル化プローブや錯体型のMSプローブを開発してきた。本年度はその総まとめとして、構造と性能との関係を、実用性を主眼にして詳しく検討した。 イオン配位を用いる金属イオン検出用のプローブにおいては、どのような原子あるいは原子団がMSプローブとして有効であるのかを明確にするために、HSAB則やルイス塩基性を考慮した錯形成リガンドの配位の原点に戻り、過去の研究室での物質も質量分析プローブとして応用した場合、どのような有効性があるのかを再検討した。それらは、マグネシウムに配位するKMGプローブ、JPLと呼ぶ酸素・窒素・硫黄原子を組み合わせたリガンド型プローブ、KHMと呼ぶ環状あるいは非環状のヘテロ元素を含むプローブで、網羅的に分子構造と質量分析で得られる結果を調べた。この結果、ヘテロ元素を含むものは、JPLも含めて硫黄原子を含むものの重金属イオンに対する有効性を期待したが(特にソフトな原子としての配位特異性を期待したが)、選択性および質量分析の感度については十分なものが得られず、窒素および酸素からなるリガンドがどのような金属イオンについても有効であるという結果を得た。 一方、タンパク質検出プローブとしては、これまでにCREST研究で主に開発してきた光解裂MSプローブを、本研究ではMALDI-MSではなくESI-MSで検出することを目的として、検討した。その結果、MALDI法を用いずにESIを用いても、質量分析ができることが分った。この場合には、MSプローブと反応したタンパク質を紫外線により一度分解し、その分解物を測定するという手法を取る。この時、光解裂の効率がほぼ100%の条件であれば、定量的な検量線を得ることができる。これら開発したMSプローブは、最近活発化しているメタロミクス研空において有効である。
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