2006 Fiscal Year Annual Research Report
X線分析による植物のCd、As蓄積機構の解明とファイトレメディエーションへの展開
Project/Area Number |
17350040
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保倉 明子 東京理科大学, 理学部, 助手 (20343569)
寺田 靖子 財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門・XAFS・分析チーム, 副主幹研究員 (90307695)
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Keywords | 放射光マイクロビーム / XAFS / 化学状態分析 / ファイトレメディエーション / ヒ素 / カドミウム / 高エネルギーX線 / 元素マッピング |
Research Abstract |
植物を用いて重金属などに汚染された土壌の環境修復を行うファイトレメディエーションが低コスト・低環境負荷型浄化技術として注目されている。われわれは放射光マイクロビームを利用した蛍光X線分析2次元イメージングとX線吸収端近傍構造(X-ray absorption near edge structure, XANES)解析を行なうことで、植物にヒ素やカドミウムなどの重金属が蓄積する機構の解明を目指して研究を行なった。 試料には、ヒ素の超集積植物であるモエジマシダとカドミウムの超集積植物バクサンハタザオを用いた。放射光測定は、高エネルギー加速器研究機構Photon FactoryのBL-4A、BL-12C、および高輝度光科学研究センターSPring-8のBL37XUで行った。BL37XUでは、フレネルゾーンプレートにより形成した高エネルギー(37keV)X線マイクロビームを用いて、Cdの高感度イメージングを行った。 これらの実験を通して、ヒ素やカドミウムなどの毒性元素が細胞レベルでどこに蓄積されているのかを初めて明らかにすることができた。特にマイクロビームの適用により、モエジマシダの胞子付近の葉と胞子嚢の境において、局所的にヒ素が分布していることがわかった。またヒ素のXANES測定により、モエジマシダの葉柄部においては3価と5価のヒ素が共存しているのに対し、羽片ではほとんどのヒ素は3価で存在しており、土壌からシダに取り込まれたヒ素は5価から3価に還元されて、各器官に蓄積している様子が示された。一方、バクサンハタザオに蓄積されたカドミウムは、葉の表面のトライコームにおいて高濃度に蓄積していることが初めて直接的に明らかとなった。トライコームにおけるカドミウムの分布は亜鉛の分布と正の相関があり、これらの重金属蓄積メカニズムにおける関連性が示唆された。
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Research Products
(6 results)