2005 Fiscal Year Annual Research Report
カチオン-π相互作用による立体配座制御を基盤とする不斉合成反応の多面的展開
Project/Area Number |
17350046
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
山田 眞二 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (30183122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武次 徹也 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90280932)
矢島 知子 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (10302994)
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Keywords | カチオンーπ相互作用 / 分子内相互作用 / コンフォメーション制御 / 触媒反応 / 面選択的付加反応 / シクロプロパン化反応 / ピリジニウムイリド / ピコリン酸アミド |
Research Abstract |
有機分子の立体選択的合成を行うためには、有機分子のコンフォメーションをいかに制御するかが重要な鍵となる。本研究では、新しいコンフォメーションの制御法として、分子内相互作用の一つである、カチオンーπ相互作用に着目しその利用を検討している。 今年度は、まず始めにピリジニウムとフェニル基との間の相互作用に関する基礎的知見を得るため、ニコチン酸アミド類の塩に対する溶液中および結晶中の構造をNMRおよびX線結晶構造解析により調べた結果、予測通りピリジニウムとフェニル基とが平行に重なり、分子間相互作用が存在することを明らかにした。 本相互作用を基盤として、「分子内および分子間カチオンーπ相互作用を利用する不斉付加環化反応の開発」について検討した。具体的には、ピリジニウムイリドのカチオンーπ相互作用を利用するシクロプロパン化反応の検討を行った。ピリジニウムイリドは、ピリジニウム塩から簡便に生成する活性種であり、様々な反応に用いられている。ピリジニウムイリドと電子不足アルケンの反応において、カチオンーπ相互作用が関与することで、面選択的付加反応が進行し、連続するピリジニウムへのS_N2反応により光学活性なシクロプロパンが生成することが期待される。不斉補助基を有するピコリン酸アミドとブロモ酢酸メチルとのピリジニウム塩に、塩基を作用させることによりイリドを発生させた後、電子不足オレフィンへの求核付加を行った結果、光学活性なシクロプロパンが80%ee以上の選択性で得られることがわかった。生成物の絶対立体配置は、既知物に導くことで決定した。 反応機構を明らかにするため、ピリジニウム塩のX線結晶解析を行った結果、ピリジニウム環とフェニル基とが平行に重なり、分子間相互作用が存在することを明らかにした。
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