2008 Fiscal Year Annual Research Report
カチオン-π相互作用による立体配座制御を基盤とする不斉合成反応の多面的展開
Project/Area Number |
17350046
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
山田 眞二 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (30183122)
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Keywords | カチオンーπ相互作用 / 分子内相互作用 / コンフォメーション制御 / 面選択的付加反応 / 立体選択的合成 / 位置選択的合成 / 光付加環化反応 / 有機光反応 |
Research Abstract |
本年度は分子間カチオンーπ相互作用を利用するアザスチルベンおよびアザカルコン類の光二量化を検討した。 アザスチルベンの光二量化反応は、一般にsyn型とanti型の混合物を与えるため、包接化合物、テンプレートを用いるなどの工夫がなされている。本研究では、1当量の塩酸存在下、450W高圧水銀ランプを用いて3時間光照射を行ったところ、カチオンーπ相互作用により分子配向が制御され、syn型の二量体を高い選択性で与えることを見出した。 さらに、従来溶液中での立体制御が困難であった、共役ケトンのアザカルコン類の光二量化を試みた結果、固相中において高い選択性が得られることを見出した。アザカルコンおよびアザカルコン塩酸塩の結晶をそれぞれ乳鉢ですりつぶし、二枚のガラス板に挟んで、250W高圧水銀ランプで光照射を行ったところ、アザカルコンでは複数の生成物が得られたのに対し、塩酸塩ではsyn-HT型の生成物が定量的に得られることが明らかになった。塩酸塩単結晶のX線解析により二重結合間の距離がアザカルコンに比べ短くなっていることから、分子間カチオンーπ相互作用により、結晶の配列が制御されたためであると考えられる。
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