2005 Fiscal Year Annual Research Report
選択的フルオロ化,非得異的フルオロ化法の開拓と生体機能分子への両極アプローチ
Project/Area Number |
17350047
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
融 健 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (00163957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 哲男 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (40293302)
中村 修一 名古屋工業大学, 工学研究科, 助手 (20335087)
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Keywords | フッ素 / モノフルオロメチル化 / ジフロロメチル化 / 生理活性物質 / キナアルカロイド / 相間移動触媒 / パラジウム |
Research Abstract |
トリフルオロメチル基やジフルオロメチル基を含有する化合物は医薬品や農薬などの分野において興味深い化合物である。しかしながら,これらの官能基をエナンチオ選択的に導入する方法は非常に少ない。そこで我々は,トリフルオロメチル基やジフルオロメチル基に変換可能なジブロモジフルオロメタンを用いて,エナンチオ選択的ブロモジフルオロメチル化反応を検討した。反応はβ-ケトエステルを基質として,触媒に天然アルカロイドであるシンコニンから容易に合成できるキラル4級アンモニウム塩を相関移動触媒として用いて,トルエンやジクロロメタンなどの有機溶媒中,無機塩基の存在下,ブロモジフルオロメチル化反応を行った。その結果,目的とするα-ジフルオロブルモメチル化体を中程度の化学収率と不斉収率で得ることに成功した。 続いて,不斉モノフルオロメチル化反応の開発を検討した。トリフルオロメチル基を導入する方法は知られているものの,モノフルオロメチル基の導入法に関しては全く報告例がなかった。我々はこの課題を克服するため,モノフルオロメチルアニオン等価体としてフルオロビス(フェニルスルホニル)メタンを創出した。まず,ビス(フェニルスルホニル)メタンのナトリウム塩とSelectfluorを反応させることにより,新型モノフルオロメチル化試薬であるフルオロビス(フェニルスルホニル)メタンを合成した。このモノフルオロメチル化試薬を用いて,パラジウム触媒によるアリル位の不斉モノフルオロメチル化を検討した。アリルアセテートに対し,触媒量の不斉パラジウム触媒とモノフルオロメチル化試薬を,炭酸セシウムの存在下,塩化メチレン中で反応させると,対応するモノフルオロ化合物が高収率,高立体選択的に得られた。生成物の脱スルホニル化は容易に行うことができ,モノフルオロメチル基へと誘導が可能である。
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