2006 Fiscal Year Annual Research Report
実践的金属複合反応場:有機金属ポリマーに固定した多核金属錯体による触媒反応の実現
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17350050
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永島 英夫 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50159076)
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Keywords | 遷移金属錯体 / シラン還元 / アミド / アミン / エナミン / シロキサンポリマー |
Research Abstract |
本研究は、分子触媒の中でも未開拓の分野である金属クラスター触媒の開発とそれを用いた実践的な触媒反応の実現を目的に、有機金属ポリマーを反応剤に用いて、クラスター触媒を有機金属ポリマー中に固定した複合型金属クラスター触媒とそれを用いた触媒反応を開発することを目的とする。 本研究は、A.ポリマー固定用有機金属錯体触媒の開発と、B.ポリマーマトリクス中への金属種の固定と分離まで含めた触媒プロセスの開発からなり、これらを、錯体化学、触媒化学、高分子化学、有機化学等複数の分野の観点から研究する。 本年度は、2年目にあたり、高分子状シロキサンへにルテニウムクラスター触媒の固定化される際の、固定化機構の解明、固定化された金属種の構造と反応性、の検討をおこない、分光学的手法により、ルテニウム種のポリマー中での状態解析をおこなった。とくにIRでは、3核クラスターの内包が示唆された。次に、ルテニウム以外の金属錯体の高分子状シロキサンの固定とマトリクス内の金属種の構造解明へと展開し、白金、ロジウム、イリジウム、鉄等の塩、または、錯体触媒がアミドの還元反応を用いてシロキサンポリマーに固定化されることが明らかとなった。これらの固定化する錯体は、金属の種類、金属まわりの支持配位子により、その固定化の効率が異なる。また、アミドの還元反応は、高分子のマトリクスの構築を酸素架橋により促し、金属種の固定を実現するが、アミドの還元反応の観点からは、触媒の種類により、反応の効率や、生成する化合物が異なる。白金塩、錯体は3級アミドの3級アミンへの還元反応に有効であり、イリジウム錯体は3級アミドのエナミンへの転換反応に高活性を示す。触媒の分離も容易であり、プロセス化学としての有用性を実証した。
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Research Products
(4 results)