2006 Fiscal Year Annual Research Report
超ガラス状ポリマーおよびサブナノ空間ポリマーの創出と物質の透過・分離機能の評価
Project/Area Number |
17350056
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
増田 俊夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (60026276)
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Keywords | 高分子合成 / 置換ポリアセチレン / 超ガラス状ポリマー / ナノ材料 / 環境材料 / 気体透過性 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、多数の置換ポリアセチレンを合成しており、その中でサブナノ空間ポリマーと呼ぶことのできる高気体透過性ポリアセチレンを見出している。本研究では、高い透過特性を示す超ガラス状ポリマーの合成を目的とし、新規置換ポリアセチレンの合成および生成ポリマーの特性の検討を行い、以下に示す結果を得た。 1)Grubbs-Hoveyda Ruカルベン錯体を用いた極性官能基を有するポリ(ジフェニルアセチレン)の合成 極性官能基を有するジフェニルアセチレンは重合触媒を失活させるために、今まで極性基含有ポリ(ジフェニルアセチレン)を得ることはできなかった。この解決法として、大きな置換基で極性基を保護し、重合後に脱保護することにより極性基含有ポリ(ジフェニルアセチレン)を合成する方法が開発されたが、極性基および保護基を詳細に選択しなければならない。しかし、優れた官能基耐性を有するGrubbs-Hoveyda Ruカルベン触媒を用いることにより、これまでの触媒系では活性種の失活によって重合が不可能であったアミド基やウレタン基を有するジフェニルアセチレンの重合が進行した。フッ素およびシロキシ基を含有するモノマーの重合では非常に高分子量のポリマーが得られ、Ru触媒を用いて得られたポリマーの自立膜はTa触媒を用いて得られたポリマーのものよりも全ての気体に対して高い透過性を示すことを見出した。 2)ヒュームドシリカナノ微粒子の置換ポリアセチレン膜の気体透過性への影響 有機無機ハイブリッドやナノコンポジットは特性を向上させることのできる新しいポリマー材料である。三種類の置換ポリアセチレン膜に非多孔性ヒュームドシリカを添加すると、ヒュームドシリカの添加量の上昇とともに気体透過性は向上した。ポリ(1-クロロ-2-フェニルアセチレン)の場合、30wt%のヒュームドシリカを添加すると、添加前の酸素透過性(8.6 barrer)と比べて10倍の透過性(86 barrer)を示した。添加前のポリマーの気体透過性が高いほど、添加による透過性の向上の度合いは小さくなることが明らかとなった。また、ポリ(1-クロロ-2-フェニルアセチレン)にヒュームドシリカを加えるとH_2/CH_4選択性は大きく減少したが、ポリ(1-(トリメチルシリル)-1-プロピン)に添加してもこの選択性ほとんど変化しなかった。
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Research Products
(5 results)