2007 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ナノ集合体の構造解析と解離・会合挙動の特性化
Project/Area Number |
17350058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 尚弘 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (10196248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 章仁 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (70294147)
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Keywords | 高分子集合体 / 両親媒性高分子 / らせん高分子 / 光散乱法 / 沈降平衡法 / サイズ排除クロマトグラフィー / 高分子ミセル |
Research Abstract |
これまで2年間に得られた成果に基づき、以下の研究を行った。 (1)両親媒性ランダム共重合体は水溶液中で花形ミセルを形成するが、全ての疎水基がコア内に取り込まれていないこと昨年度までに示した。この花形ミセル溶液の濃度を増加させると、ある濃度以上で急激に粘度の増加が認められた。この増粘効果は、露出した疎水基による花形ミセルの会合・ゲル化に起因することを証明した。同共重合体は、増粘剤として種々の工業製品に利用されているが、その増粘効果の機構を始めて明らかにした。 (2)熱変性させた2重らせん多糖ザンサンの再性過程で、高分子と添加塩の濃度が高いと会合が起こる。この会合挙動が、カスケード理論によって定量的に説明できることを示した。この高分子も食品などの増粘・ゲル化剤として利用されているが、その会合体構造を初めて定量化した。 (3)ポリアクリル酸とポリビニルアミンが水溶液中で形成する酸-塩基複合体の構造解析を行った。この系はpH応答性を有し、様々な利用が期待されているが、本成果はその応用の基礎として重要な知見を与えた。 以上の成果に加えて、以下の新しい高分子集合体系についても、主として構造解析を行った。 (4)両末端疎水化テレケリック高分子は、希薄溶液中では花形ミセルを形成することが知られていたが、相当希薄な溶液においてすでに、一部のテレケリック鎖がブリッジ鎖となって花形ミセルの会合体が形成され、濃度増加にともなってその会合が急激に進行することを見出した。 (5)ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)とポリ(N-ビニルピロリドン)のブロック共重合体は、水溶液中加熱によりミセルを形成するが、そのミセル形状が加熱速度に著しく依存することを見出した。速く加熱したときには球状ミセルが、他方ゆっくりと加熱したときには球殻2分子膜(ベシクル)が形成されていると結論した。
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Research Products
(20 results)