2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17350059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇山 浩 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70203594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
景山 弘 大阪大学, 大学院工学研究科, 講師 (50294038)
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Keywords | γ-ポリグルタミン酸 / 酸化カップリング / ポリアミノ酸 / フェノール / ハイドロゲル |
Research Abstract |
ポリペプチドに代表されるポリアミノ酸は、生体適合性、生分解性などの機能が期待される高機能性高分子素材であることから、その合成法と生医学材料への応用が活発に研究されている。今年度は、酵素触媒作用を利用した新規ポリアミノ酸ハイドロゲルの合成を検討した。納豆の糸引き成分であるγ-ポリグルタミン酸(PGA)を主鎖骨格とし、側鎖にチラミンを導入した水溶性のフェノール基含有ポリグルタミン酸を合成した。ペルオキシダーゼを触媒に用い、ポリグルタミン酸誘導体の酸化カップリングを行うことで、側鎖フェノール基間で架橋したハイドロゲルを合成し、得られたゲルの諸物性測定を行った。 チラミン導入率や反応条件を変化させることで強度や架橋密度を自在に制御することができ、酵素濃度が増加するに伴い、貯蔵弾性率(G')が増加した。また、周波数変化によるG'の値に大きな変化がないことから、得られたゲルは均質で安定と考えられる。膨張率のpH依存性を調べたところ、pH3以下の時、PGA側鎖に電荷が生じないため、電気的な反発が減少することによってゲルが収縮し、膨張率が低下した。一方、それ以上のpHではカルボン酸塩の状態で存在しているため、静電反発によるゲルの膨張が見られた。本ハイドロゲルのpH応答性に着目し、モデルドラッグとしてブリリアントブルー(BB)を用い、ゲルの徐放性を調べた。低pH条件でBBを導入したハイドロゲルを中性水溶液に浸漬し、放出されるBBの量を追跡した。pH変化によってゲルの網目が大きくなり、ゲル中に内包されていたBBが放出される様子が示された。6時間後には導入したBB全体の70%以上が放出することが分かった。本ハイドロゲルは生分解性、生体適合性が期待されるポリアミノ酸を主鎖骨格に有しており、DDS用マトリクスや創傷被覆材、細胞足場材料といった生体材料への応用が期待される。
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Research Products
(2 results)