2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子集合に基づく非対称ナノカプセル空間の創製と分子素子への展開
Project/Area Number |
17350067
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 健二 静岡大学, 理学部, 助教授 (40225503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 正道 静岡大学, 理学部, 助手 (10377715)
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Keywords | 分子自己集合 / カプセル / 非対称ナノ空間 / 超分子 / ホスト-ゲスト / 分子認識 / 包接 / 配向制御 |
Research Abstract |
[1]水素結合に基づく非対称カプセル:非対称ナノカプセル空間への非対称ゲスト分子の包接配向制御 お椀型大環状ホスト分子であるテトラカルボキシル-キャビタンド1とテトラ(3-ピリジル)-キャビタンド2との水素結合による分子自己集合によって形成されるヘテロダイマーカプセル1・2のゲスト包接選択性について検討を行った。その結果、いくつかの重要な知見が得られた。 1)ヘテロカプセル1・2のキャビティーパッキング効率が52〜62%の1,4-二置換ベンゼンゲストが包接されること、即ち、ゲスト分子のサイズが重要であることがわかった。2)ハロゲン基やメトキシ基を有するゲスト分子が包接されやすいこと、即ち、カプセル-ゲスト間のCH-π、ハロゲン-π、CH-ハロゲン相互作用がカプセル包接に重要な役割を果たしていることがわかった。3)p-ハロ-アニソールはハロゲン基を特異的に2側に、p-エチル-アニソールはメトキシ基を特異的に2側に配向して1・2に包接されることがわかった。このように、上記相互作用が、包接配向を制御している。4)p-ブロモヨードベンゼンやp-メチルアニソールは包接配向選択性を殆ど示さないが、オルト位にフッ素原子を導入すると、フッ素側の置換基が高選択的に2側に配向して1・2に包接されることがわかった。 [2]配位結合に基づく非対称カプセル:熱力学的支配と速度論的支配に基づく非対称カプセルの選択的作り分け テトラ(4-ピリジル)-キャビタンド3とテトラキス(4-シアノフェニル)-キャビタンド4とM(dppp)(TfO)_2 (M=Pd or Pt)との1:1:4混合物は、熱力学的支配に基づく配位結合によって、特異的にヘテロカプセル{3・4・[M(dppp)]_4}・(TfO)_8へと分子自己集合することがわかった。一方、4とテトラキス(4-ピリジルエチニル)-キャビタンド5とM(dppp)(TfO)_2 (M=Pd or Pt)との1:1:4混合物は、速度論的支配に基づいてホモカプセル{(5)_2・[M(dppp)]_4}・(TfO)_8と{(4)_2・[M(dppp)]_4}・(TfO)_8の1:1混合物を与えることがわかった。そして、ホモカプセル{(4)_2・[M(dppp)]_4}・(TfO)_8に対して1当量の5を添加すると、選択的にヘテロカプセル{4・5・[M(dppp)]_4}・(TfO)_8へと分子自己集合することがわかった。このように、各キャビタンド配位子とM(dppp)(TfO)_2との配位能力と立体因子の組合せに基づくカプセルの熱力学的・速度論的安定性のバランスによって、非対称カプセルの選択的作り分けに成功した。
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