2006 Fiscal Year Annual Research Report
革新的なプロトン導電機能性物質の開発と導電機構の解明
Project/Area Number |
17350068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐野 充 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 教授 (90144097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比野 高士 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 教授 (10238321)
長尾 征洋 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 助手 (40432223)
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Keywords | プロトン導電体 / 導電機構 / 薄膜化 / コンポジット |
Research Abstract |
昨年度、SnP_2O_7のプロトン導電性を評価し、またその導電機構を解明した。その結果、SnP_2O_7内の電子ホールと外気の水蒸気との交換反応でプロトンが固体内に溶解し、これがホッピング機構で伝導することを見出した。またこの物質に10mol%In^<3+>イオンをドープし固体内の電子ホール濃度を増加させることで、プロトン導電率をさらに増大させることにも成功した。加えて、この物質を電解質に使用して燃料電池を構成したところ、150-350℃の乾燥雰囲気下で数100mW cm^<-2>の出力密度を得るまでに至った。 以上の研究では、In^<3+>ドープSnP_2O_7が難焼結性であったため、その粉体を加圧成形(静水圧2ton cm^<-2>)して電解質試料に使用していた。しかし、実用的な観点からすれば、このプロトン伝導体の膜化は必須の条件となる。この場合、電解質膜に対して要求される基準としては、緻密性、柔軟性、耐熱性等が高く、しかもプロトン導電率が最低でも10^<-2>S cm^<-1>以上必要なことである。そこで、今年度はそのような膜化を実現するために数々の検討を行ってきた。その結果、プロトン導電体粉体、ビス(トリエトキシシリル)アルカン、ハイドロシリルアルカンスルホン酸、テフロン等から成る有機/無機ハイブリット膜が一つの有望な電解質膜に成り得ることを見出した。この膜の特長は、(1)プロトン導電率が無加湿の100℃で2×10^<-2>S cm^<-1>、200℃で5×10^<-2>S cm^<-1>に達する、(2)燃料電池の開回路電圧が膜厚(100-500μm)に関係なく、980mV程度を示す、(3)燃料電池のオーム抵抗が膜厚に比例しており、100μmで0.4Ω cm2の値である、(4)燃料電池の出力密度が電極の最適化を行っていないにも関わらず110-187mW cm^<-2>に至る、等があげられる。今後は、電解質膜の導電率をさらに向上させるため、プロトン導電体の微粒子化、並びに微粒子、バインダーとテフロン分量の最適化を行うなるとともに、電解質膜のMEA化によって反応過電圧の低減に努める予定である。
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Research Products
(7 results)