2008 Fiscal Year Annual Research Report
革新的なプロトン導電機能性物質の開発と導電機構の解明
Project/Area Number |
17350068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐野 充 Nagoya University, 大学院・環境学研究科, 教授 (90144097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比野 高士 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (10238321)
長尾 征洋 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教 (40432223)
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Keywords | 含水プロトン導電体 / プロトン導電機構 / 固体酸性 / コンポジット膜 / 電極反応 / 電気化学デバイス |
Research Abstract |
本研究課題では非含水型プロトン導電体であるSn0.9In0.1P207について、その特異的に高いプロトン導電性を理解し、さらなる性能向上を図るとともに、有機バインダーとのコンポジット化によって機械的特性の改善に努める。本年度は主に以下に示す二つの項目を検討した。(1)プロトン導電体の高性能化:SnP_2O_7の固体酸性度を弱める目的で、このリン酸塩に二価のカチオンであるアルカリ土類金属イオン、Ca^<2+>、Mg^<2+>、Sr^<2+>、Ba^<2+>をドープした。これらの中でも、Sn^<4+>イオンのイオン半径に最も近いMg^<2+>イオンのドーピングによって導電率へのポジティブな効果が観察された。最高のプロトン導電率はMg^<2+>イオンが10mol%の時に0.11Scm^<-1>であり、この値は10mol%In^<3+>やAl^<3+>をドープした試料のプロトン導電率のおよそ60%に相当していた。一方、Mg^<2+>ドープSnP_2O_7の酸量はIn^<3+>とAl^<3+>ドープSnP_2O_7の酸量と比較して、それぞれ72と69%に減少していた。これにより、電解質による腐食作用が低減できると期待される。(2)有機・無機コンポジット電解質膜の作製:有機バインダーとして、200℃までの耐熱性を持ち、無加湿の100℃でプロトン導電率が10^<-4>Scm^<-1>を示すスルホン化ポリスチレン-ポリ(エチレンーブチレン)-ポリスチレントリブロック共重合体(S-SEBS)を選択した。100-200℃におけるプロトン導電率はどれもS-SEBS含有量の増加とともに減少したが、室温で測定した強度は反対に増大する傾向を示した。従って、導電率と強度の兼ね合いから、S-SEBS含有量20%を最適な試料と決定し、その物性を詳細に評価した。その結果、プロトン導電率5.6×10^<-3>Scm^<-1>@150℃はPTFEをバインダーに使用した際の値とほぼ同じであったが、強度2.8MPa、伸び430%、最低膜厚50μmではPTFEバインダーの値(強度1.4MPa、伸び60%、最低膜厚100μm)を大きく上回っていた
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Research Products
(6 results)