2006 Fiscal Year Annual Research Report
ドライプロセスによる高速イオン移動界面の構築と高出力電極への展開
Project/Area Number |
17350098
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
今西 誠之 三重大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20223331)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 敦 三重大学, 大学院工学研究科, 助手 (60324547)
|
Keywords | インターカレーション / LiCoO2 / WO3 / 界面抵抗 / 薄膜電極 |
Research Abstract |
リチウム電池の電極反応解析を構造が単純化された薄膜電極を用いて行った。本年度は薄膜がもつ幾何学的因子と電極反応速度の関係を検討することを目的とした研究を行った。膜の厚さを変えて電極反応抵抗値を測定したところ、LiCoO_2においては膜の厚さが増すほど抵抗値が増大する結果となった。一方WO_3においては膜の厚さに依存せず抵抗値は一定であった。LiCoO_2は二次元板状構造を有するが、膜厚に依存せず常に110配向の膜であった。 次に、反応の活性化エネルギーを算出した。LiCoO_2電極の活性化エネルギーは70〜80kJ/molの範囲で推移し、活性化エネルギーに対する電極厚さと充放電深度の影響は観測されなかった。WO_3はLiCoO_2より若干小さい値を示すが、厚さに対する依存性は同様に認められない。活性化エネルギーが同じであることから反応の機構自体は変化がない。この事実は反応抵抗の増大が、機構変化が原因ではないことを示している。そこで以下の2つの可能性を考えた。 1.単純に反応活性点が減少している場合 WO_3のような三次元構造を有する材料の場合、電極は結晶構造的に均一でありインターカレーションは表面のどの点からも起こりうる。一方LiCoO_2は異方性結晶であるから、電子伝導パスがその結晶の向きによって決まる。このため厚みが増すほど電子のパスが選別されてゆき、表面ではいくつかのポイントに電子が集約されている不均一な状況が現れるのではないかと予想される。このような状況においては表面積が小さくなったと同じ効果が現れ、抵抗が大きくなる。 2.反応活性点の数が同じと考えられる場合 電子が有する電気的負の雰囲気が電極表面に現れにくいのがLiCoO_2で、現れやすいのがWO_3とすると、抵抗値の増大を説明できる。今後電子に関する情報を収集することで反応機構の本質を明らかにすることが出来ると考えられる。
|
Research Products
(4 results)