2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規主鎖型液晶ポレオレフィンの創成と液晶構造制御に関する研究
Project/Area Number |
17350110
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
黒子 弘道 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (20221228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永 直文 芝浦工業大学, 工学部, 講師 (40314538)
曽根 正人 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (30323752)
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Keywords | 新規主鎖型液晶 / 液晶構造制御 / 高次構造 |
Research Abstract |
本研究では、ポリオレフィンの主鎖に特異な環状構造を周期的に導入することにより剛直性を持たせ、自発的配向する液晶相を形成する高分子を合成し、更に、合成した高分子を液晶紡糸することにより、折畳みを形成しない高強度配向繊維を作製する技術を開発することを目的としている。このため、平成17年度はポリエチレンにシクロペンタン構造をランダムに導入した(エチレン-ヘキサジエン)共重合体および、シクロペンタン構造とメチレンが交互に有するポリ(メチレン-1,3-シクロペンタン)の結晶および液晶の固体高分解能^<13>C NMRスペクトルを固体NMR装置を用いて化学シフトおよび緩和時間測定を行った。 用いた試料は架橋ジルコノセン触媒によるエチレンと1,5-へキサジエン(HD)の環化反応を伴う共重合により得たシクロペンタン構造の含有率1.8,9.7,20.3mol%のランダム共重合体である。 固体高分解能NMRでは、結晶領域のみならず、非晶の構造についてもコンホメーション、分子運動性を議論することが可能である。上記試料のCP/MAS測定を行ったところ、(エチレン-HD)共重合体の非晶部が明らかに通常のポリエチレン非晶と異なるトランスリッチな構造をとっていることが明らかとなった。わずかな1.8mol%のHDの取り込みによっても通常のポリエチレン非晶が消失し、トランスリッチな構造を形成させるという興味深い結果が得られた。 そこで、これらの試料をメルトクエンチ処理を行ったところ、メルトクエンチ処理後の化学シフト値は3つのサンプルとも高磁場シフトし、HD含有量が増大するにつれ、すべてのサンプルにおける処理前の化学シフト31.35ppmからの高磁場シフト幅は減少していた。これらの結果より、メルトクエンチ処理を施してもメルトした直後にトランスの構造をとろうとする傾向がHDの存在により強まることが明らかとなった。また、HD含有量が多いサンプルほどトランスの構造をよりとりやすい傾向にあることがわかった。
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Research Products
(4 results)