2006 Fiscal Year Annual Research Report
第3元素の占有個所を特定する結晶ナノ構造解析と機能特性発現の解明
Project/Area Number |
17360012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 範之 九州大学, 産学連携センター, 教授 (50038022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寒川 義裕 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (90327320)
波多 聡 九州大学, 総合理工学研究院, 助手 (60264107)
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Keywords | 窒化インジウム / 分子線エピタキシャル成長 / 透過型電子顕微鏡 / 酸素 / エネルギーギャップ / アルケミ / 結晶極性 / 収束電子回折 |
Research Abstract |
平成17年度において確立した試料作製法を用いて窒化インジウム(InN)の透過型電子顕微鏡(TEM)用断面観察用の良質薄片試料を作製した。実験には分子線エピタキシャル成長(MBE)法でサファイア(0001)基板上に成長させたInN薄膜試料を供した。酸素の含有量は3%程度もしくはそれ以下である。TEM観察により、InN薄膜は、径50-100nmのコラム状結晶の集合で、成長方向は<0001>であることがわかった。しかし、平面観察により、a-軸方位の配列はほぼランダムであることが確かめられた。コラム状晶の極性は収束電子回折(CBED)法で解析した。まず、EMSおよびZuoによる計算プログラムを用いてCBEDパターンのシミュレーションを行った。その結果、加速電圧は200kVより300kVの方が有利であるが、200kVにおいても膜厚を100nm以下にすることにより、極性判定は十分に行えることが確かめられた。実験により、本試料ではN極性であることが判明した。このことは、成長過程における酸素原子の取り込み拡散挙動についての理解にきわめて有効である。次に、アルケミ法を利用して酸素原子の占有位置を解析した。まずEMSプログラムを用いてIn原子位置、N原子位置、格子間位置での電子線強度分布のシミュレーションを行った。この結果と実験で得られた窒素と酸素の特性X線強度の回折条件による変化と比較することにより、含有する酸素原子の多くは格子間位置ではなく窒素原子を置換していることが判明した。この結果は、価数中性条件からインジウム原子位置の一部は空港となっていることを示唆している。これはIn-In原子対の数が減少することになり、宮島(ソニー)によるEXAFSによる結果とよく一致する。これらの成果は、InNでのエネルギーギャップ値変化の原因解明に大きく貢献するものである。
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