2006 Fiscal Year Annual Research Report
3次元フォトニック構造を利用した液晶レーザーの開発
Project/Area Number |
17360014
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
城田 幸一郎 独立行政法人理化学研究所, 河田ナノフォトニクス研究室, 先任研究員 (00291071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深野 天 独立行政法人理化学研究所, 細胞機能探索技術開発チーム, 研究員 (80373364)
武安 伸幸 独立行政法人理化学研究所, 河田ナノフォトニクス研究室, 協力研究員 (90373323)
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Keywords | 液晶 / フォトニック結晶 / 自己組織化 / 高性能レーザー |
Research Abstract |
本研究は、液晶相が自発的に形成する3次元フォトニック構造を活用し、そのバンドギャップ内にフォトンを閉じこめることにより、低閾値で発振する液晶レーザーを開発することを目的としている。そのために3次元立方構造を有する液晶青色相を研究対象としてきた。昨年度は、温度制御したBPI相のモノドメインを用いて低閾値レーザー発振を起こさせた。本年度は、青色相を高分子安定化することにより、青色相の温度域を拡大し、室温でのレーザー発振を実現した。 高分子安定化青色相の試料は、菊池ら(Nature Mater.1(2002)64.)と同様に、キラルネマチック液晶に液晶性モノマーと長鎖アクリルモノマー、および光重合開始剤を添加した混合物を用いた。液晶セルに混合物を注入した後、青色相を維持するように温度を制御しながら紫外線(365mm)を照射することで安定化させた。昨年度開発した青色相の配向手法を適用することで、BPIの(110)面を基板面と平行に揃えた後に紫外線を照射すると、ほぼモノドメインの高分子安定化青色相試料が得られた。本来の青色相の温度域は数℃であるが、安定化により室温を含む50℃以上に拡大した。利得媒質として試料に加えるレーザー色素は、青色相を著しく不安定化するが、重合温度と紫外線照射強度を最適化することにより色素ドープした高分子安定化青色相を得ることができた。 この色素ドープ高分子安定化青色相のセルを波長520nmのフェムト秒レーザーパルスにより励起したところ、バンド端(596mm)でレーザー発振を得た。発振閾値は、通常の青色相と同じく、1次元のキラルネマチック液晶の半分程度まで低減できた。モノドメイン化した高分子安定化青色相は、温度制御が不要であり、レーザー以外の様々な光デバイスに利用可能である。
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