2006 Fiscal Year Annual Research Report
走査プローブ顕微鏡による表面ポテンシャル分布の高精度測定
Project/Area Number |
17360018
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 幸雄 The University of Tokyo, 物性研究所, 准教授 (80252493)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 雅之 東京大学, 物性研究所, 技術職員 (00396920)
|
Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 表面・界面物性 / 超精密計測 / 静電ポテンシャル / ナノコンタクト |
Research Abstract |
本研究では、走査トンネル顕微鏡(STM)や原子間力顕微鏡(AFM)を駆使して、表面でのポテンシャル分布を高空間分解能かつ高エネルギー分解能で測定する技術を確立することを目的としており、これまで、STMによるSi(III)-√3x√3Ag表面上でのポテンシャル測定から、そのポテンシャルが表面上のステップや吸着物など電荷が局在しているとされる箇所の周囲数ナノメートルの範囲でポテンシャルが減少する様子が観察された。さらにそのポテンシャル変化が単純なクーロンポテンシャルでは説明されず、同表面に局在する表面二次元電子系に遮蔽されたポテンシャルであることを見出している。また遮蔽によるポテンシャルの振動構造、いわゆるフリーデル振動を初めて観測することに成功しており、これまで観察されている電子定在波との比較を行っている。またポテンシャル分布の測定から、ステップや吸着物での電荷量を見積もることができ、これまでの光電子分光の測定結果等と比較検討を行った。 上記で観察されたポテンシャルの振動構造がフリーデル振動によるものであることを理論的に検証するために、Lindherdによる線形応答理論を用いて2次元電子系に対する応答関数を求め、さらにそれを用いて誘電関数を計算しその逆フーリエ変換から遮蔽ポテンシャルのプロファイルを計算した。観測された実験結果と比較することにより、フリーデル振動であることが検証されるとともに、表面でのステップや吸着物による電荷を推定することができた。
|