2005 Fiscal Year Annual Research Report
負イオン注入パターン化表面と神経細胞による神経回路との双方向情報伝達に関する研究
Project/Area Number |
17360021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 博司 京都大学, 工学研究科, 助手 (20127103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 順三 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026278)
後藤 康仁 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00225666)
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Keywords | 負イオン注入 / 親水性 / 神経細胞接着 / 神経突起伸展 / 人為的神経回路 / 双方向情報伝達 / 神経刺激 / バイオインターフェイス |
Research Abstract |
1.基板上のパターン化負イオン注入処理高分子薄膜による神経回路形成と注入処理条件の最適化 ガラス基板(コーニング#7059)上に2電極(2行1列)と4電極(2行2列)のNi電極パッドを蒸着し、その上に、スピンコート法(5%PSトルエン)によりポリスチレン薄膜を形成した。これに炭素負イオンをパターン幅50μm、周期120μmのマスクを介してパターン化注入して、容量性電極付ポリスチレン基材を作成した。この基材上でPC-12h神経細胞(ラット由来副腎髄質褐色種細胞)やMSC細胞(ラット骨髄液由来神経細胞)を培養して、注入処理条件(注入エネルギー範囲:5〜20keV、注入量範囲:1×10^<14>〜3×10^<16>ions/cm^2)の適合性を調べた。 (1)神経細胞の選択接着に対する炭素負イオン注入処理の最適化 PC-12h神経細胞においては、10〜20keVの注入エネルギー、1〜3×10^<15>ions/cm^2の注入量の条件において注入パターン領域に明確な選択的な細胞接着と神経突起の伸展が得られ、PC-12h細胞に対する最適条件は10keV、3×10^<15>ions/cm^2であった。他方、MSC細胞では、10keVで1×10^<14>ions/cm^2の注入量時に明確な選択的細胞接着が得られた。MSC細胞では、PC-12h細胞に対する注入量の1/10程度が適しており、MSC細胞がより基材表面に対して敏感であることが判明した。今後、脳神経細胞に対するの注入処理条件の最適化が必要と考えられる。 (2)神経突起伸展長に対する炭素負イオン注入処理の最適化 注入処理条件を種々に変えた場合のPC-12h細胞による神経突起の長さに関しては、5〜20keVの範囲では、何れも注入量が2〜3×10^<15>ions/cm^2の時に最長の神経突起が得られた。 2.外部電気パルス印加による神経突起伸制御 2電極および4電極の容量性結合電極付ポリスチレンに炭素負イオン注入(10keV,3×10^<15>ions/cm^2)によりパターン化を行い、1個の電極に電気パルス(5V,パルス幅20ms、周期40ms)を印加しながらのNGF存在下でPC-12h細胞培養では、神経突起は60%の確率でパルス印加電極方向に優先的な伸展が見られた。 3.神経細胞状態検出用イオンセンサーの設計指針 細胞の大きさは約10μm程度であるので、イオンセンサーとして用いるMOSFETの大きさも10〜20μmで、ゲート長を10μmとする。しかし、神経細胞が活動状態となる場合に周辺に及ぼすイオン濃度変化による電位変化は数〜10mV程度である。ゲート酸化膜の厚みを薄く、ソースやドレインの絶縁を厚くすることが必要と分かった。
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Research Products
(1 results)