2006 Fiscal Year Annual Research Report
負イオン注入パターン化表面と神経細胞による神経回路との双方向情報伝達に関する研究
Project/Area Number |
17360021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 博司 京都大学, 工学研究科, 助手 (20127103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 順三 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026278)
後藤 康仁 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00225666)
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Keywords | 負イオン注入 / 神経細胞 / パターン化細胞接着制御 / 脳神経細胞 / 体性幹細胞 / 間葉幹細胞 / 分化誘導 / 人為的神経回路網 |
Research Abstract |
1.炭素負イオン注入処理による脳神経細胞のパターン接着と神経回路の形成 PC12h細胞(ラット由来副腎髄質褐色種細胞)はクローン神経様細胞であるが、シナプス形成能が極めて悪いという困難さがある。本年度では実際のラット胎児の脳神経細胞(大脳皮質)を用いて、炭素負イオン注入処理による高分子材料表面へのパターン接着を試みた。脳神経細胞は表面接着に際して正帯電した窒素結合が必要であるため、ポリDリジンPDLをコートしたポリスチレンを基材として用いた。これに、炭素負イオンをパターン注入(注入エネルギー範囲:5〜20keV、注入量範囲:1×10^14〜3×10^16 ions/cm^2)し、注入部のPDLをデグラデートして、そのアミノ基を除去した。脳神経細胞の接着部位を制御でき、パターン化接着に成功した。最適条件はPDLコート濃度:5μg/ml,炭素負イオン注入エネルギー:10keV,注入量:1x10^14 ions/cm^2であった。 2.体性幹細胞のパターン化と神経への分化誘導による神経回路形成 脳神経細胞は特有の下地が不可欠で、また、増殖が望めないという困難がある。一方、幹細胞は増殖培養ができ、かつ、種々の細部種に分化する能力を有している。体性幹細胞はこの特性を有し、かつ、成熟個体中にあり、医療倫理や拒否反応などの問題がなく、極めて有効である。本年度では、体性幹細胞、特に、骨髄液間葉幹細胞MSCを用い、これの炭素負イオン注入によるポリスチレン表面へのパターン接着制御、およびパターン化接着したMSCの神経細胞へ分化誘導による神経回路網形成を試みた。ポリスチレン上での選択接着に対する最適炭素負イオン注入処理条件は、10keV,1×10^14 ions/cm^2であった。この条件で、パターン化炭素負イオン注入処理をポリスチレンに行い、MSC細胞が配列接着したパターンを形成した。次いで、βメルカプトエタノールBMEを含む2種類の分化誘導培地を試した。その結果、通常よりも低濃度BME1〜3mMで接着パターンを保ったまま神経細胞への分化に成功した。神経への分化は神経特異エノラーゼの蛍光染色法により確認した。
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Research Products
(3 results)