2006 Fiscal Year Annual Research Report
レーザプラズマ真空紫外光源を励起源とする水クラスターの複合電子励起過程の研究
Project/Area Number |
17360023
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
荒川 一郎 学習院大学, 理学部, 教授 (30125976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 隆行 学習院大学, 理学部, 客員研究員 (90449306)
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Keywords | 表面・界面物性 / 原子・分子物理 / 放射線,X線,粒子線 / 分子性固体 / 光物性 / 電子遷移誘起脱離 / 水クラスター |
Research Abstract |
本研究の目的は,レーザープラズマ真空紫外光源(LPLS)から出射されるエネルギーの異なる二つの光子束により,クラスター系に同時に複合した電子励起状態を生成してその反応過程を探る新しい分光法を開発することである.この手法を用いて,まだ明らかでない部分の多い水/希ガス固体吸着系からの水クラスターイオンの電子遷移誘起脱離の機構,さらに水クラスターに異種の分子が取り込まれた分子集団(ヘテロクラスター)で起こる種々の反応を実験的に研究するための新しい手法を開発する. 平成18年度は,すでに稼働しているLPLS装置の性能強化と増設する新しい独立したビームラインの製作を進めた.計画当初は,Nd-YAGレーザーは最新機種に更新する予定であったが,製造元と協議している内に,現在使用しているレーザーの基本性能を決めている発振ロッドが非常に質の良いものであることが判明し,その周辺部品を交換することで新機種よりも高い性能を維持できるとの判断により,部品交換とオーバーホールを施した. これらの装置の設計・製作と並行して,現有のLPLSと実験装置を用いて単色光励起による水と有機分子のヘテロクラスターの光励起脱離実験を行った.飛行時間法によって脱離するイオンの質量分析を行い,その入射光子エネルギー依存性.クラスターのサイズ分布,脱離するときの初期運動エネルギーを測定した.水,メタン,およびその複合クラスターでは,H_3O^+もしくはCH_3^+の付加したクラスターイオンが特異的に安定であることを明らかにした.また,エタンあるいはメタノールが親分子と考えられるフラグメントイオンの存在を確認した.これは真空紫外光によって水クラスター上での合成反応が誘起された結果と考えている.
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Research Products
(4 results)