2008 Fiscal Year Annual Research Report
レーザプラズマ真空紫外光源を励起源とする水クラスターの複合電子励起過程の研究
Project/Area Number |
17360023
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
荒川 一郎 Gakushuin University, 理学部, 教授 (30125976)
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Keywords | 表面・界面物性 / 原子・分子物理 / 放射線,X線,粒子線 / 分子性固体 / 光物性 |
Research Abstract |
(1)レーザーで生成されたプラズマから放出される光を,それぞれ分光器を備えた二つのビームラインを経由して,波長36〜108nmおよび4〜108nmの範囲の任意の二つの波長の真空紫外光を試料に同時照射できる光源を完成した.本光源からのパルス光の時間幅は10ns,1パルスあたりの光子数は百万〜一億に達っし,吸着系から光励起脱離してくるイオン種の飛行時間法による質量分析において十分な分解能と信号強度が得られた. (2)低温ヘリウムガスフロー型のクライオスタットに取り付けた銅下地表面に希ガス固体膜を準備しその表面上の水とメタンの共吸着系からの光励起脱離イオンを観測した.種々の構成をとる水-メタン複合クラスターイオンが観測された。この脱離にもっとも寄与するのは,それぞれの分子の光直接イオン化ではなく,希ガス原子の直接二重電離を経由した下地-吸着分子間の電荷移動によるイオン化過程であることが明らかになった. (3)共通の母クラスター(例えば水とメタンそれぞれ一分子からなるクラスター)からの脱離でも,どちらの分子が下地を経由してイオン化されるかによって,脱離するクラスターイオンの構成が変化することが明らかになった.二波長励起の実験手法(脱離過程と特定分子のイオン化を独立して制御する)により,この機構を解明しようと試みているものの,上記の(2)に述べた下地の強い影響に隠されて,まだ明らかになっていない.下地の励起を経ず,二波長ともクラスターの直接励起にチューニングして行う実験手法の開拓が課題となっており,現在進行中である.
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