Research Abstract |
1.第一原理計算に基づく生体適合3元素圧電材料の分子材料設計および圧電特性d_<31>の予測:上田・上辻は高精度・高応答性を示すペロブスカイト型結晶構造を持つ3元素圧電材料の分子設計を行った.候補圧電材料を選定し,それらの分子構造を初期予測構造として第一原理計算プログラム(CASTEP)により電荷密度分布,誘電率および圧電定数d_<31>の予測を行い,最終的には,生体適合圧電材料としてMgSiO_3が優位性を示すことを確認した. 2.ヘリコン波スパッタリング装置によるBio-MEMS用生体適合圧電材料創製技術の開発:仲町・上辻は原理計算によって求めた3元素生体適合極薄膜圧電材料MgSiO_3を創製するために,既設のヘリコン波スパッタ装置を用いて創製条件探索を行った.薄膜創製条件として,温度,ターゲットの組成,基板材料,圧力,酸素流入量,照射時間,スポット寸法を考慮し,実験計画法および応答曲面法を用いた最適創製条件の探索を行い,200μmの薄膜創製に成功した.しかし,結晶がコロニー化し,粗さが大きく,さらに目的とする結晶方位(111)への配向度が低いためになお検討が必要であることが判明した.現在,基板・中間バッファ層用材料としてイリジウムを選択し,高配向度の結晶構造を持つ中間バッファ層とMgSiO_3の成膜を目指し,最適な創製条件探索中である. 3.ESCA・XRD・EBSD・LCR・自作圧電特性計測装置・細胞培養試験装置による生体適合圧電材料の機能評価:仲町・上辻は試作された3元素生体適合極薄膜圧電材料の機能評価実験を行った.試験項目は,(1)ESCAによる元素分析,(2)XRD・EBSDによる結晶構造解析,(3)SEM・AFMによる表面性状計測,(4)"極薄膜圧電特性試験装置"による圧電特性計測,(5)細胞を用いた毒性検査による生体適合性評価実験,の5項目とした.創製を試みたMgSiO_3の機能評価により,結晶構造および圧電特性を示す創製条件を確定する手法を模索中である.
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