2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360060
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
帯川 利之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70134830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
釜田 康裕 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10418676)
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Keywords | MQL / 切削加工 / 切削油剤 / 微量化 / 数値流体解析 |
Research Abstract |
MQL切削加工は,微量の生分解性切削油を切削点に噴霧する環境適応型の加工技術である.多くの条件下で湿式切削と同等の切削性能を示すが,作業環境の改善,地球環境系に及ぼす負荷の軽減のためには,切削油の更なる低減が必要であり,本研究では次世代技術として,「マイクロリットルMQL切削加工技術」を提案した.実用レベルにおいて現状の1/10〜1/50程度まで切削油の使用量を低減させることを想定し,1時間当たり1ミリリットル(1ml/h)を下回る加工技術の実現を図ることが本研究の目的である. 本年度は,研究の初年度にあたることから,旋削を対象として,オイルミストを切削点に誘導し摩耗を抑制する工具,すなわち,特許出願中のCOD (Controlled Oil mist Direction)工具で旋削用のものを開発した.COD工具のオイルミストの流路設計には,汎用数値流体解析ソフトPhoenicsと形状モデリングのための三次元CADを使用した.最初に通常の工具を使用した場合のオイルミストの流れを数値流体力学により解析し,流れの特徴を把握した.解析結果より有効に利用されないオイルミストが多いことが明らかとなったので,流れを局在化し,オイルミストの利用効率を高めるための幾つかの流路形状を提案し,それに対応したCOD工具を開発した.次に,開発したCOD工具を用いて,難削材であるニッケル基超耐熱合金Inconel 718の切削実験を行った.コーテッド超硬を工具として使用したが,切削速度は,通常の2倍程度の90m/minに設定する厳しい条件を採用した.切削油の供給量は通常20-30ml/hであるが,この場合でも通常のMQL切削工具の場合には,湿式と同等の工具寿命は得られない.しかし,刃先直下からオイルミストを供給する流路を設定した場合には8ml/h,前逃げ面側から刃先に向かって供給する流路を設定した場合には1ml/hまで切削油を低下させても湿式と同等の工具摩耗抑制効果があることが明らかとなった.また後者の場合,さらに0.6ml/hまで切削油を低下させてもMQLの効果が十分にあることを確認した.この結果,1時間当たり1ミリリットル(1ml/h)を下回るMQL加工技術の実現の可能性が非常に高いことが分った.
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Research Products
(4 results)