2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17360075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川野 聡恭 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (00250837)
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Keywords | バイオ・ナノテクノロジー / 分子流体力学 / コンピュータシミュレーション / 数理モデル / 生体電子デバイス / マルチスケール解析 / マルチフィジックス解析 / 非線形ダイナミクス |
Research Abstract |
たんぱく質やDNAの自己組織化,構造転換機能,分子認識機能を有効に利用し,そのナノ構造体およびナノ機械を創製する研究が黎明期にある.これら生体高分子の「特殊機能材料」としての上記特性が水溶液中でのみ発現するにもかかわらず,詳細は不明であるため,これらを時間および温度に強く依存するダイナミカル流動システムとしてとらえ,生命科学における理論流体力学的研究のブレークスルーを図ることが本研究の目標である. 昨年度は,高真空下でDNA自己集合化ネットワークの詳細観察が可能になるように環境型プローブ顕微鏡ユニットを導入したので,本年度は装置の立ち上げと予備実験を引き続き行っている.実験的研究では,マイカ基板,シリコン系基板,カーボン系基板を用い,水中や真空中での基板原子とDNA構成原子の相互作用に注目した研究を行っている.新しい研究方向として見出した新概念として,チューリングの反応拡散波により,DNAネットワーク性状の模擬が可能であることがわかった.ナノスケールの生体高分子自己集合化現象を古典流体力学的な場の理論によって考察可能であることは驚きであり,動物の皮膚や自然界の渦等におけるパターン形成に関連して,知的好奇心が大いに刺激された.次年度に本格的な取り組みを開始し,学理構築の重要課題として取り込む予定である.また,粗視化モデルを用いた鎖状高分子の流動シミュレーションを行い,ランジュバン方程式とマックスウェル方程式のカップリング技術を確立した.汎用プログラムの構築も完了し,マイクロ流路と微小電極を用いたDNAの高速分離デバイスの数値設計が可能であることを示唆した.これは,近年,遺伝子の発現を調整する機能を有することが明らかになったmiRNA(20-25塩基対の一本鎖RNA)の分離にも適応できることが期待され,企業や実験研究者との共同研究を模索している.
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Research Products
(3 results)