2005 Fiscal Year Annual Research Report
低温環境適合型高性能PEM燃料電池のための気液・熱・電流移動分布の均一化研究
Project/Area Number |
17360089
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近久 武美 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00155300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部 豊 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80374578)
菊田 和重 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90214741)
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Keywords | 燃料電池 / PEFC / 固体高分子 / 生成水 / 凍結 / 二相流 / 可視化 / 拡散層 |
Research Abstract |
本研究は広い反応面において均一な電流密度特性を発揮するために必要な各種影響因子を明らかにし、最適流路設計に必要な条件を示すことを目的とするものである。まず、セル内現象と電流密度分布との関係を明らかにするために、電池内の水分生成挙動の可視化を行う一方、電圧変化および電流密度分布の同時計測を行った。実験の結果、生成水および温度分布と電流密度分布には明らかな相関が観察され、ドライアウトやフラッディングが局所的に大きく異なった電流密度分布を形成する現象が確認された。また、電解質膜および拡散層内の初期湿潤状態によって局所電流密度分布に差異が生じ、特にドライアウト条件では正のフィードバックが生じるような(乾燥化が生じ始めればそれが加速されるような)不安定現象があることが推定された。 一方、種々の電流密度における低温起動特性ならびに電池内の凍結現象の把握を目的として、凍結セルの解体および凍結時のインピーダンス測定を行い、低温起動運転時の性能低下に対する支配因子について検討した。その結果、凍結までの発電時間から推定した生成水分量は電流密度にかかわらずいずれの場合もほぼ等しいことが確認された。また、インピーダンス解析の結果、凍結によるガスの拡散阻害が電圧低下の主要因であると推定された。この他、セパレータや拡散層内の複雑な液滴挙動を解析する目的で、分子塊の運動概念に基づいた格子ボルツマン法による二相流シミュレーションを行った。格子ボルツマン法では二相の密度比が大きくなると計算が不安定となる困難さがあるが、本研究によって気液密度比を1000倍まで計算可能とすることができた。解析結果より、概ね1mm程度の流路幅で最も水の排出特性が良好となる領域があることが明らかとなった。 以上、本年度の研究により、拡散層内の水分挙動と電流密度分布との相関、ドライアウト現象の特異性、凝縮水の排出特性、および低温起動時の電池特性に関する新知見を得た。
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Research Products
(4 results)