2005 Fiscal Year Annual Research Report
ザゼンソウ発熱因子に基づくマイクロ・エネルギー変換デバイス
Project/Area Number |
17360151
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
長田 洋 岩手大学, 工学部, 助教授 (10261463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 菊一 岩手大学, 農学部, 助教授 (50232434)
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Keywords | 生物 / 電子デバイス / マイクロデバイス / 制御工学 |
Research Abstract |
本年度は,エネルギー変換デバイスを設計・製作するために必要な基礎的物性をとらえるべく,ザゼンソウに内在するエネルギー変換機構の解析を行った. ・熱エネルギー制御アルゴリズムの同定 ザゼンソウの雌期における体温データを決定論的非線形予測法により解析し,ザゼンソウの熱エネルギー制御アルゴリズムを同定した.その結果,同アルゴリズムでは発熱制御に関わる因子が2系統であることが示された.この解析結果は,生化学的な解析結果(2種類の発熱因子:AOXとUCP)と良く一致する.また,それぞれの機能分担も両解析共に一致するものであり,このことからもザゼンソウの熱エネルギー制御アルゴリズムは同定できたと考えられる.なお,同アルゴリズムはシミュレーションや電子回路による実験から,非常にロバスト性が高い制御を行うことが出来ることが示されており,生体由来のアルゴリズムの特徴を良く示している.また,その構成は当然ながら非常に単純であり,工学デバイスとしてエネルギー変換デバイスに組み込むことも可能であると考えられる. ・発熱因子タンパク質の解析 生化学的な解析により,ザゼンソウの発熱にはAOX(alternative oxidase)とSfUCPbと名付けたUCP(uncoupling protein)分子が密接に関連していることが示された.さらに,SfUCPbは動物細胞に存在するような一般的なUCPとは異なり,5番目の膜貫通ドメインを特異的に欠失した新規の機能分子であることがはじめて明らかになった.SfUCPbはプロトン濃度勾配をATP合成と共役することなく解消し,その電気化学ポテンシャルの制御に大きく関与しており,プロトン伝導デバイスとして非常に有効である.なお,SfUCPbは,現在試験管内で数百マイクログラムオーダーの合成が可能となってきており,次年度以降の進展が大いに期待される.
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Research Products
(3 results)