2007 Fiscal Year Annual Research Report
ザゼンソウ発熱因子に基づくマイクロ・エネルギー変換デバイス
Project/Area Number |
17360151
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
長田 洋 Iwate University, 工学部, 准教授 (10261463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 菊一 岩手大学, 農学部, 教授 (50232434)
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Keywords | 生物 / 電子デバイス / マイクロデバイス / 制御工学 |
Research Abstract |
本年度は,ザゼンソウの発熱制御に関係する因子の活性をコントロールするネットワークの生化学的な推定,ならびに発熱制御システムにおけるエネルギー変換の工学的モデリングとそのモデルに基づく発熱制御装置の試作を行った. ■システム全体のダイナミクスの解析 肉穂花序をターゲットとし,温度以外に湿度や照射量,地中温度などをパラメータとして,発熱制御機構のダイナミクスを解析しモデリングを行った.その結果,肉穂花序の温度は気温以外の環境パラメータにも依存して変化するものの,その発熱制御を司る操作量は自身の温度変化のみであることが改めて示唆された.また,その制御機構を模倣したシミュレーション実験と試作した制御デバイスにより,同制御機構は限られたリソースしか利用できないながらも自己収束性と高い安定性を有することが示された.また,同制御機構はサンプリング速度に比例してその性能が向上するため,デバイスの小型・高速化に適した構造を有していることが示唆された. ■SfUCPbの機能解析および合成手法の検討 ザゼンソウにおけるUCP(SfUCPb)の活性について検討するため,ミトコンドリアの膜電位と呼吸活性を同時に測定することができるシステムを新たに開発するとともに,リノール酸(LA)による脱共役活性を解析した.その結果,ザゼンソウ由来ミトコンドリアにおいては,LAの添加により膜電位を低下させるとともに,当該ミトコンドリアの呼吸活性を増大させることができる脱共役活性が存在していることが明らかとなった. また,SfUCPbの合成手法を検討したところ,その機能を完全に再現できるまでには至らなかった.合成したタンパク質はその高次構造が実在のものとは異なっていることが考えられる.ミトコンドリアの発熱制御ネットワークのさらなる機能解析が必要と考えられる.
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