Research Abstract |
平成17年度は,ガラス基板光導波型マイクロホンの開発を重点的に行い,感度の向上及びノイズの低減を図った。 光マイクロホンは音圧感知部のダイヤフラムとその上を通る直線光導波路からなる。光マイクロホンにおいて,感度と共振周波数はマイクロホンの特性を決める重要な性能指標である。本研究では,感度向上を狙いつつ,共振周波数をできるだけ高くすることを念頭に置き,位相感度と共振周波数をそれぞれ2.5mrad/kPa,3.4kHzに設定した。理論計算からダイヤフラムサイズを20mm×20mm×0.15mmと設計し,光マイクロホンの試作を行った。試作マイクロホンの位相感度(測定値)は1.3mrad/kPaで,設計値の半分程度にとどまったが,我々のグループが行った先行研究に比べ,11倍の感度向上を達成した。一方,雑音低減に関しては,まず光マイクロホンシステム(光マイクロホン,レーザ光源,光検出器)における雑音評価を行い,10Hz以下の雑音と25kHz付近の雑音が極めて大きいことを見出した。10Hz以下の雑音については,除震台の除振効果の低下から生じた光軸ずれによるものではないかと推測している。また,25kHz付近の雑音は,光検出器の設計に不十分な点があり,25kHz付近の利得が高くなったためと考えている。これらの雑音をカットするため,通過帯域300Hz〜3kHzのバンドパスフィルタを導入した結果,雑音は実効値で9.7mVから1.9mVまで減り,比較的大きな雑音低減に成功した。上記の改善を施した光マイクロホンに周波数1kHz,音圧25Pa(122dB-SPL),20Pa(120dB-SPL),8Pa(110dB-SPL),2Pa(100dB-SPL)の音波を印加し,すべての音圧の音波検出に成功した。現在のところ,検出可能最小音圧は周波数lkHzにおいて100dB-SPLである。
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