2006 Fiscal Year Annual Research Report
電気光学材料を用いたリング共振器光スイッチのSiLSI上へのモノリシック集積
Project/Area Number |
17360166
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
横山 新 広島大学, ナノデバイス・システム研究センター, 教授 (80144880)
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Keywords | 光スイッチ / 電気光学効果 / リング共振器 / モノリシック集積 / 低温形成 / 光強度変調 / (Ba, St)TiO_3 / スパッタ |
Research Abstract |
リング共振器光スイッチの製作に先立って,製作の容易なマッハツェンダー光モデュレータを試作した.電気光学材料には,Siプロセスに導入実績のある(Ba, Sr)TiO_3(略称BST)を用いた.平成17年度は、塗布法によって550℃で製膜した.90Vの電圧印加によって光出力を約2%変化させることができた.BST膜の電気光学定数は,r=6.7pm/Vと計算された.この値は,電気光学材料としてよく用いられる単結晶LiNbO_3の約1/5の値である. 塗布BST膜の製膜温度は550℃と,金属配線層の上層にデバイス製作するためには高すぎるため,RFマグネトロンスパッタ法によって作製したBST膜を用いてマツハツェンダー光モデュレータを作製した.スパッタ法を用いると,結晶性の良い膜が比較的低温で得られるが,結晶性の向上と共に光伝播損失が増加することが分かった.光伝播損失の原因は,多結晶BST膜のグレイン境界で光が散乱されるためと推測される.450℃で作製したBST膜は光伝搬損失が470dB/cmと大きいので,光伝搬損失の小さいSi窒化膜光導波路の一部にBST導波路を埋め込んだハイブリッド型導波路を作製した印加電圧200V(電界強度1.2x10^4V/cm)において,最大光変調率10%を達成した出力光強度の電界強度依存性より電気光学定数r=25.2pm/Vが得られた.この値はLiNbO_3のものと同等である.今回作製したデバイスは,誘電率の小さいSiO_2を介してBSTに電圧を印加する構造のため,動作電圧は200Vと大きいが,リッジ型導波路構造を用い横方向から電極接続する方式をとり,導波路幅を2mmと狭めれば,動作電圧は数Vまで低減できる.また,応答時間が1〜6秒と遅いことが分かった.この原因は,BST膜の組成が化学量論的組成になっていないためと推測された.
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