2006 Fiscal Year Annual Research Report
符号木の特性解析とそのデータ圧縮および暗号システムへの応用
Project/Area Number |
17360174
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 博資 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30136212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 弘樹 筑波大学, 大学院システム情報工学研究科, 助教授 (20272388)
有村 光晴 湘南工科大学, 工学部, 講師 (80313427)
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Keywords | データ圧縮 / 木符号 / 同期系列 / スプレイ / 多分木 |
Research Abstract |
符号化の理論および手法に関連する最新の研究動向や研究成果を調査するために,何人かの専門家を招聘して議論を行った.また,本研究課題に対して,次のような成果を得た. (1)木のデータ構造を用いるデータ圧縮符号である固定長-可変長(FV)符号において,同期系列は復号誤り伝播を終端させることができ,FV符号において非常に重要である.しかし,全てのFV符号が同期系列を持つとは限らない.本研究では,同期系列を持たないRV符号をその特徴に基づき数種類に分類し,その各分類ごとに同期系列を持たないFV符号の数を理論的に導出した.なお,この成果は国際シンポジウム(ITAW2007)において発表した (2)動的な符号木更新を用いるデータ圧縮符号であるスプレイ符号を,2分木から多分木に拡張した.スプレイ符号は,出現した節点をその親の兄弟節点と入れ替える処理を葉から根に繰り返し適用することにより更新されるが,多分木の場合,兄弟節点が複数あるため,どの兄弟節点と入れ替えるかの自由度が生じる.本研究では,兄弟節点に順位付けを導入し,その順位を用いて入れ替え節点を決める更新規則を考案した.さらに,性能のよい圧縮率を達成するための,順位付け規則および入れ替え規則を計算機実験により明らかにした.また,多分木スプレイ符号に関して,定常無記憶情報源に対する平均圧縮率の上界を理論的に導出した.その上界は入れ替え規則によらないため,どのような節点交換規則を用いても,その上界で理論性能が評価できる特長がある.
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