Research Abstract |
本年度は,昨年度に行った準備的研究を更に発展させ,以下の成果を得た。 まず,音声、ビデオIP伝送のユーザレベルQoSリアルタイム推定方式の研究を継続し,ビデオの空間品質の影響まで含めるよう拡張した。更に,これまでのMPEG1ビデオに加え,H.264ビデオも検討対象とし,ビデオの誤り補償を行った場合の検討や,非線形回帰式による推定の研究も行った。 次にIEEE802.11e無線LANのEDCAを用いた場合に,伝送誤りがあるという条件下で,TXOP-Burstingに加えblock ACKがアプリケーションレベルとユーザレベルのQoSに及ぼす影響を評価した。同様の検討を,アドホックネットワークでEDCAを用いた場合にも行った。また,HCCAを採用することによって,ユーザレベルQoS保証を可能とするパケットスケジューリング方式を提案し,評価した。 多対多IPマルチメディアアプリケーションの研究では,受信バッファリング時間やネットワーク負荷がユーザレベルQoS(主観品質と作業成績)に及ぼす影響を,SD法により多次元的に評価した。 更に,昨年度に提案したユーザレベルQoS保証アーキテクチャGPSQについて,3音声、ビデオ蓄積ストリームを伝送する場合の実験を行い,その有効性を確認した。続いて,GPSQをインタラクティブサービスに拡張するための2種類の基礎実験を行った。第1の実験では,帯域保証がないネットワークにおいて,受信バッファリング時間が,受信再生情報の忠実度と遅延との間でトレイドオフの関係を生じることを定量的に示した。これにより,ユーザレベルQoSを最大にする受信バッファリング時間が存在することを明らかにした。第2の実験は,帯域保証ネットワークで同様の検討を行ったものである。
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