Research Abstract |
著者らは,正方形断面のRC橋脚を対象にこれまで軸力-曲げ-ねじりが同時に作用する時(いわゆる複合応力状態)の復元力特性や相関曲線を一連の実験によって明らかにしてきた.これまでの実験では曲げ荷重は主軸方向に作用させるいわゆる一軸曲げ状態であったが,実際には水平地震力の作用方向は任意であることを考慮して,本課題の初年度では先ず,二軸曲げ状態に対する実験を行った. 供試体の寸法は400×400×1600mm,加力の方向は対角線方向である.本年度の実験は軸力10%,帯鉄筋間隔30mm供試体に対し,ねじり卓越型,中間型,曲げ卓越型,純曲げ型の4タイプの載荷を行った.純ねじり型は,曲げ加力をしないので以前の一軸曲げの実験結果を用いることとした. 曲げ荷重-曲げ変位関係の比較を純曲げ型に対して行えば,一軸曲げに比して二軸曲げの曲げ耐力が大きくなっており,その比は1.30程度であった.この数値が√<2>=1.41に達していないのは,曲げが2向に作用しているため,二軸曲げの相関の影響が出たからである. 一方,ねじり荷重-ねじり角関係における一軸曲げと二軸曲げの比較を行えば,ねじり卓越型では二軸曲げの影響が小さいが,中間型から曲げ卓越型へと曲げ荷重が増加するにつれて,二軸曲げ実験時の方がねじり最大耐力が小さくなっているのがわかった. 曲げとねじりの相関曲線の比較をひび割れ時,降伏時,最大耐力時のそれぞれにおいて行った.ここで曲げモーメントは実荷重を√<2>分の1倍して,一軸あたりの値に直している.一軸曲げと二軸曲げを比較した結果,載荷状態が純曲げ状態に近くなるにつれて,両者の開きが大きくなっており,二軸曲げの影響が顕著になることがわかった. 以上を要するに,二軸曲げの影響は曲げ卓越型の載荷状態ほど顕著となるため,一軸曲げにおいて作成した曲げねじり相関曲線を,二軸曲げ状態において,特に曲げ卓越の領域において使用することは危険側となる。
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