| Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物の処分方法として我が国では,地下300m以深に地層処分する予定である.処分施設において緩衝材の材料として,膨潤による自己シール性等を有しているベントナイトの利用が考えられている.一方,緩衝材周辺の熱環境に関しては,高レベル放射性廃棄物から発生される崩壊熱による緩衝材の乾燥,また地熱および崩壊熱の影響により高温多湿環境が形成されると予想される.
平成17年度は,基本的性質の異なる4種類のベントナイトに対し,加熱温度60〜130℃,加熱期間28,120,365日間の条件で温度履歴を与え,ベントナイトの膨潤圧・膨潤変形特性に及ぼす温度履歴の影響を実験的に調査してきた.平成18年度は,高温多湿環境下で湿潤温度履歴試料を作製し,その膨潤特性を把握した.その実験結果に対して,温度履歴を与えていない試料および平成17年度に実施した乾燥温度履歴試料と比較・検討した.なお,湿潤温度履歴試料作製にはベントナイトAを用い,温度90,110,130℃で所定期間加熱して温度履歴を与えた.主な結果は以下の通りである.
1.膨潤圧実験において湿潤温度履歴試料は乾燥温度履歴試料に比べ,早い段階で膨潤圧低下が認められた.しかし,各温度120日間でほぼ同じ最大膨潤圧を示した.また,鉛直圧19.6kPa下の膨潤変形実験の結果は,湿潤温度履歴試料が温度履歴を与えていない試料の25%に低下した.これらの結果より温度履歴を与える際の水の有無は,膨潤特性に大きく影響することがわかった.
2.ベントナイトの膨潤特性低下のメカニズムを追求するために膨潤力試験を行った.その結果,各温度履歴が進むにつれが膨潤力およびpHは減少,ECおよびORPは増加傾向にあることが示唆された.各温度履歴試料を比較すると湿潤温度履歴試料の方が急激に変化することが分かった.
|
