Research Abstract |
2007年度の研究では,基本的性質の異なるベントナイトA,B,C,Eに対し,温度60,90,110,130℃で所定期間加熱し温度履歴を与え,それぞれ膨潤圧・膨潤変形実験を行った.その結果,ベントナイトA,B,Eにおける膨潤圧特性と鉛直圧1000kPa下での膨潤変形特性は,温度履歴の影響をほとんど受けないことが分かった.また,ベントナイトCは,高い初期乾燥密度において膨潤圧特性と鉛直圧1000kPa下での膨潤変形特性に対する温度履歴の影響は小さいと判断された.一方,ベントナイトAの鉛直圧500kPa下での膨潤変形特性とCの初期乾燥密度が低い条件での膨潤圧特性,および加熱温度90〜130℃の鉛直圧1000kPa下での膨潤変形特性が温度履歴の影響の影響を受け低下した.以上より,温度履歴の影響を受けにくいベントナイトは,Na型のA,B,Eであると結論付けた. 次に,ベントナイトA,B,Eを使用して,実際の処分施設での隙間部分と緩衝材との関係を一次元的に模擬・縮尺した,一次元モデルによる自己シール性実験を行った.その結果,ベントナイトAは初期乾燥密度が1.59Mg/m^3以上において温度履歴の影響は小さかった.ベントナイトBとEにおいては,今回の実験条件においては温度履歴の影響は小さかった.一方,ベントナイトAは,加熱温度90,110,130℃で初期乾燥密度が1.56Mg/m^3以下において自己シール挙動の低下が認められた. さらに温度履歴によるベントナイトの膨潤に及ぼす影響要因について検討を行った.具体的には粉末X線回折法によるベントナイト中の含有鉱物の同定,実験後の供試体のNa, Ca, K, Mgイオン濃度の測定,メチレンブルー吸着量の測定,実験前後の陽イオン交換容量の測定等を実施した.その結果,ベントナイトAの膨潤特性の低下はモンモリロナイトの陽イオンの吸着能力の低下と推察された.また,Ca型ベントナイトCの場合, Ca^2+イオシがモンモリロナイト結晶層に固着されることにより,メチレンブルー吸着量がNa型のベントナイトAと比べて著しく低下し,これに起因して膨潤特性か低下したと推察した.
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