Research Abstract |
微生物による水源汚染可能性の評価のために,微生物の1)河川への流出,2)地下への浸透,3)河川水中での変化を「微生物水文学」という視点で解析した.1)では,源流域河川において,大腸菌をモデル微生物とした現地調査を行なった.その結果,洪水時は平水時の100〜1000倍の濃度で大腸菌が検出されること,大腸菌の流出パターンは濁度成分と似ているが,ピーク時間や沈降速度は必ずしも一致しないことを示した.そして,微生物学的リスクの予測では環境中を潜在的生息場とする病原体の急激な流出への考慮が重要であり,濁度観測による微生物学的な水質の管理という従来の提案は不十分であることを示した.1)ではまた,山梨県内河川14カ所で一般水質項目とレジオネラ属菌の測定を行い微生物の河川流出の現状を把握した.その結果,レジオネラ属菌の検出率は21%であり,検出された地点ではBODは2-2.8mg/Lと比較的小さく,レジオネラ属菌は必須となる第一鉄イオン濃度が0.16mg/L程度であれば生育可能であることを示した.また,分離された5菌株のうち1菌株をLegionella dumoffiiと同定した.2)では,地下への水の浸透と微生物の動きとの関係を把握するために,斜面土壌の水分量,濃度・一般細菌数を観測した.その結果,一般細菌の斜面内移動方向が水頭勾配・水質により推定した流れの方向と一致すること,湿潤期と乾燥期で流れ方向が相違し,根域範囲内と範囲外で降雨に対する応答が異なることを示した.3)では,河川の自浄作用に関連して,入射日射量が河床生物膜の藻類,細菌群の生息に及ぼす影響を検討した.その結果,入射日射量は藻類や細菌群の群集構成や存在量に大きく関係していること,細菌群の消長には藻類の存在も影響すること,河川における自浄作用を検討する際には,時空間的に変動する日射条件も考慮する必要があることを示した.
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