Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 隆信 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (00184755)
加藤 茂 豊橋技術科学大学, 工学教育国際交流研究センター, 准教授 (40303911)
対馬 孝治 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教 (70391612)
有田 守 大阪大学, 工学部, 助教 (80378257)
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Research Abstract |
19年度の主な研究実績は下記の通りである。 (流域班) ・猪鼻湖や浜名湖の周辺産地にある柑橘園の施肥による環境への負荷を過去にさかのぼって推定した。猪鼻湖への負荷は,最も高い時期で年間約350t,1960年以降を積算すると約3,200tと推定された。浜名湖への上流負荷は,1960年以降の積算では,約8,000tと推定された。1970年代半ばからは,猪鼻湖では施肥量の大幅な減少により,浜名湖では施肥量とともに面積の減少により,柑橘園の施肥窒素による上流負荷量は小さく,環境への負荷はほとんど無いと考えられた。 ・猪鼻湖に流入する河川を対象に,リンおよび窒素の流出特性を明らかにするとともに,流出負荷量の推定を行った。リンは降雨時において懸濁態リンが大きく増加し,極めて短時間に懸濁態リンが平水時に比べて濃度を1-2桁増大させる。したがって,降雨時に起こる現象が年間流出負荷量に占める影響は無視できない。年間流出負荷量の算出方法として,濃度、流量一定法など6種類の手法を検討した。さらに,算出した年間流出負荷量を用いて猪鼻湖を取り巻く柑橘園と森林の単位面積あたりの流出負荷量を算定した。 (内湾班) ・1950年代から約50年間にわたる浜名湖の水質の長期変化について,定期モニタリングデータと数値モデル(流体力学、生態系モデル)を併用して解析し,湖口部の人為的改変(導流堤建設)が湖内の流れや物質輸送に及ぼす影響,および河川からの負荷量や気象変化の影響を明らかにした。また,近年の慢性的な富栄養化や貧酸素水塊形成の原因に対して,現地観測および数値計算で得られた物質輸送特性に基づいて考察を加えた。 ・猪鼻湖で実施した流れおよび水質の詳細な現地観測データから,夏期密度成層形成時の平均流れの特性および水質の変化特性を明らかにした。海水交換を引き起こす平均流れが主として風によって誘起されており,夏期には密度成層に対応した明確な2層構造を有すること,リンや溶存酸素についてもその存在形態や濃度の分布特性は2層構造を示し,これらの鉛直構造が水域の物質交換に大きく影響していることを明らかにした。また,ボックスモデルを構築し,鉛直混合および底泥との交換を含めた水域内での夏期の物質の輸送特性と物質収支を明らかにした。 (外洋班) ・外洋および湖内の潮汐の長期間データを整理し,潮汐の長期変動特性を明らかにした。
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