2006 Fiscal Year Annual Research Report
水文循環モデルの結合と総合化のための技術的基盤の確立
Project/Area Number |
17360235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
椎葉 充晴 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (90026352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 智晴 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (20190225)
立川 康人 京都大学, 防災研究所, 助教授 (40227088)
市川 温 京都大学, 地球環境学堂, 助手 (30293963)
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Keywords | 水文循環モデル / 結合 / 総合化 / 技術的基盤 / ソフトウェア |
Research Abstract |
水文循環モデルは、流域で起こる水文循環現象について、その性質を理解するとともに、水文循環現象に関わる変数を量的に把握するのに役立つ。流域規模で起こる現象について、制御された実験を行なうことはほとんど不可能であり、実際に起こる現象を観測すること、そして観測によって抽出された法則にしたがってモデルを構成しそれを動作させることが、現象を理解し予測するための重要な方法となる。本研究では、そうした水文循環モデルの結合と総合化のための技術的基盤(ソフトウェアシステム)を標準化し、標準化された仕様に基づく具体的な水文循環モデル構成の枠組みを提案することを目的としている。 昨年度は、まずはじめに、水文循環モデルの結合と総合化を実現するソフトウェアシステムが具備すべき仕様について検討した。その結果、基本的にはこれまでに開発されているプロトタイプの仕様を継承しつつ、実時間流出予測のような、より実践的な活用にも耐えうる仕様に改良すべきであるとの結論に達した。本年度は、そのような新たな仕様に沿ったシステムの開発を進めるとともに、大規模な水文循環過程を高速にシミュレートするための並列化処理技術の導入を行なった。とくに、並列化処理技術の導入に関しては、ユーザーに新たな負担を強いることの無いように配慮し、OpenMPと呼ばれる共有メモリ型の手法を用いた。これによって、これまでに開発されてきた既存のモデルになんら変更を加えることなく並列化計算環境に移行することが可能となった。また、本システムを用いていくつかの流域における分布型降雨流出モデルを開発し、洪水イベントの再現性に関する検証と分布型流出モデルにおけるパラメタ推定手法に関する検討を実施するとともに、雨水流出における特性の異なる二つの素過程のモデルを本システムによって結合し、両者を達成して計算する手法を開発した。これらの成果については、4本の学術論文に取りまとめた。
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Research Products
(4 results)