2005 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリートを増し打ちした極厚壁に緊張PC鋼棒で鋼板を圧着した耐震補強法の応用
Project/Area Number |
17360272
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山川 哲雄 琉球大学, 工学部, 教授 (50142352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 幸造 琉球大学, 工学部, 助手 (80347129)
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Keywords | 合成極厚無筋壁 / PC鋼棒 / 鋼板 / プレストレス / 横拘束 / 耐力 / 靱性 / ピロティフレーム |
Research Abstract |
コンクリートを増し打ちした極厚壁に緊張PC鋼棒で鋼板を圧着した耐震補強法に関する基本的アイデアを2005年度日本建築学会年次大会で発表した。この基本的アイデアに基づいて、既存耐震壁の壁板に側柱表面までコンクリートを増し打ちし、コンクリートの硬化後に型枠に利用した鋼板を緊張PC鋼棒で圧着した合成極厚耐震壁の一定軸力下の正負繰り返し水平加力実験を行い、その弾塑性挙動を実験的に検討した。その結果、通常の耐震壁は脆性的なせん断破壊を起こすのに対して、本研究で提案する合成極厚耐震壁は大きな水平耐力と高い靱性を確保できることがわかった。ただし、耐震壁の変形角が大きくなるにつれて側柱脚部に曲げ変形が集中し、圧縮側の柱が軸圧縮力を受けてコンクリートの圧縮変形が進行する一方、引っ張り側の柱主筋が破断する現象が生じて大変形時には水平耐力が低下する傾向にあることも新たにわかった。このような現象が大変形時に発生しても、高いエネルギー吸収量を確保できるので、既存の耐震壁に関する本補強法は有効である。この実験結果から、耐震壁における側柱主筋のひずみ集中を避けるために主筋の付着を切ることも有効であるが、これは新築の耐震壁に限られる。さらに、壁にブロックを組積したブロック耐震壁の耐震補強にも、本補強法が有効であるかどうか検討することも必要である。 一方、壁の無い既存ピロティフレームの水平耐力を増大させるために、鋼板を型枠にPC鋼棒をフォームタイにして、コンクリートを柱幅まで打設し、コンクリートが硬化後にPC鋼棒に緊張力を導入し、鋼板を圧着して合成極厚無筋壁を新設するピロティフレームに関しても耐震補強実験を行った。ただし、側柱に関しては鋼板をチャンネルタイプに加工して閉鎖形にコンクリートを包み込んで、コンクリートを横拘束することが重要である。このようなピロティフレームの耐震補強法には袖壁タイプと無開口タイプの2種類があり、それぞれ一定軸力下の正負繰り返し水平加力実験を行い、その弾塑性挙動を実験的に検討した。その結果、袖壁タイプが耐震補強効果は高いが、境界梁の弾塑性挙動にも影響を受けやすいので、場合によっては梁も耐震補強する必要がある。合成極厚無開口無筋壁に関しては耐震壁とほぼ同じ弾塑性挙動が現れた。曲げ変形に伴う側柱主筋のひずみ集中は避けられないようである。研究は緒に付いたばかりであり、さらなる研究が必要である。
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Research Products
(8 results)