2006 Fiscal Year Annual Research Report
音の粒子速度計測法の確立と音響現象の解明への適用研究
Project/Area Number |
17360283
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩瀬 昭雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30114391)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 純一 (財)小林理学研究所, 建築音響第二研究室, 室長(研究職) (00142050)
杉江 聡 (財)小林理学研究所, 建築音響第一研究室, 研究員 (00280644)
|
Keywords | 粒子速度 / ヘルムホルツ共鳴器 / 多孔質吸音材料 / 2重壁 / コインシデンス効果 / 低温域共鳴透過 / 遮音 / グラスウール |
Research Abstract |
熱線型粒子速度センサ計測に関し、応用計測を試みた。すなわち、これまで定性的な説明に終始し、実際に検証ができなかった音響現象の解明把握に努めた。主なものを以下に示す 1.建築音響や騒音制御の分野で広く知られている細い管に広い空気層を背後に配した構造で音響フィルターや吸音機構に有効とされるヘルムホルツ共鳴器の特性を調べた。ネック部に激しい空気の往復動が生じると定性的説明が行われているが、粒子速度計センサと小形マイクロフォンを並置して粒子速度センサ出力の周波数分析を行うことで、典型的な鋭いスペクトルピークを示す共鳴特性が観測できた。ネック周辺の粒子速度の強度分布を調べた結果、ネック部の前部にはネックと同軸方向の強い空気塊の運動とその周辺への影響が観測でき、この共鳴器にまつわる説明の定量的把握ができた。 2.石こうボード2枚を対向させる軽量2重壁内へのグラスウール挿入による遮音性能向上についてグラスウールの密度や挿入厚さを変え、さらに音源入射方向を変えて調べた。また、その効果の根拠を把握するため挿入グラスウール内の音波の伝搬方向を粒子速度センサにより観測した。挿入効果は斜め入射、特に水平入射に近い60度以上の条件で顕著に現れ、コインシデンス効果抑制に有効であること、密度より挿入厚の影響が大きいこと等が判明した。コインシデンス周波数付近では屈折現象と考えられる伝搬方向の変化も観測された。 3.軽量2重壁のコインシデンス効果に並ぶ欠点である低音域共鳴透過現象の抑制法を考えた。すなわち、1.に紹介したヘルムホルツ共鳴器をグラスウールに換え中空部に埋め込み内部音圧を低下させる試みである。様々な方法でコントロールが困難であった低音域共鳴透過による遮音欠損が解消されることを確認した。この共鳴器の特性把握に1.の粒子速度センサ計測を応用した。以上の成果は、本研究の目的達成として有効と判断した。
|
Research Products
(6 results)