2006 Fiscal Year Annual Research Report
音響研究・教育のための音・振動の可視化・可聴化手法の開発
Project/Area Number |
17360286
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
橘 秀樹 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (80013225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 博夫 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (70114692)
佐藤 史明 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (50286150)
坂本 慎一 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (80282599)
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Keywords | 音響教育 / 可視化 / 可聴化 / リプルタンク / クント / 波動数値解析 / 3次元音場再生 / 音響シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では環境音響学に関する研究および教育において、直接目に見えない波動・振動現象を理解する助けとなる可視化・可聴化するための各種手法の開発およびその応用について研究を行った。 (1)物理実験による波動現象の可視化 波動現象を物理実験によって可視化するために、リプルタンク(水槽)法を応用して回折現象と2次元室内における音の伝搬現象の可視化を行った。またそれらの結果は、コンピュータを用いた数値解析によって得られた結果とも対応させた。つぎに、共鳴現象を可視化する方法としてクント(Kundt)の実験手法により、音響教育用ツールとして音響管の固有モードの可視化、閉管およびヘルムホルツレゾネータの共鳴現象の可視化手法を開発し、デモンストレーション用資料を作成した。またその応用実験として、自動車用タイヤのトレッド溝内の共鳴の可視化、2次元室内の固有モードの可視化、および乗用車車室内の固有モードの可視化を行った。 (2)コンピュータを用いた波動数値解析による波動現象の可視化・可聴化 本研究では過渡現象の解析に有効な時間領域差分法(FDTD法)に基づく波動数値解析を適用して、ヘルムホルツレゾネータの共鳴現象および音波の回折現象について、教育用資料を目的とした基礎的な解析を行った。さらに、このFDTD数値解析手法による音場解析を物理実験をするような感覚で容易に利用するために"数値無響室"のアイデアを提案し、教育用ソフトウェアを試作した。 (3)各種音場の可聴化のための3次元音場再生手法の開発と応用実験 コンサートホールの音響効果や種々の環境における騒音の影響など、音の聴覚的印象を調べるための実験的研究では、実際の音場を実験室に正確に再現し、実音場におけるのと同じ聴感印象が再現できる音場シミュレーション技術が必要である。そのための可聴化手法として、6チャンネル収音・再生方式を適用し、収音および再生システムの改良を行って音場再生精度の向上を図った。これによって、きわめて高い方向定位性能を実現することができ、3次元的な実音場を忠実に再現することができるようになった。さらにこの方式を適用して、演奏者のためのホールの音響条件に関するシミュレーション実験、自動車車室内の音響的快適性の評価実験(車室内における走行音の"やかましさ"、およびカーオーディオの聴取に対する走行音の影響)、および種々の時間変動特性をもつ交通騒音の主観印象("やかましさ")の比較実験を行った。
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Research Products
(6 results)