Research Abstract |
5人の研究者はそれぞれ,次のことを行なった。 宿谷は,夏季の熱環境の成り立ちについての住まい手への情報提供が住まい手の熱環境調整行動に変化を与えるか否かを集合住宅単身者)に居住する数十人の学生を対象に行動変化の有無化の有無が過去の居住体験により,かなり異なることを見出した。 菅原は,明るく強い建物デザインを考える教育プログラムを提案し,(1)建物強度保持のためには壁(壁率)が,自然採光確保のためには開口部(開口率,照度,昼光率など)が,それぞれ充分に必要であることを理解する。(2)採光量と建物強度がトレードオフの関係にあり,両立が難しいことを理解する。(3)採光量と建物強度を確保する方法が多様に考えられることを知り,可能性に挑戦する。という目的に沿ったものであることを確認した。 高橋は,身体感覚と生態学に基づくトイレの体験型教育方法と涼房に関する住みこなしの研究を行なった。「糞便とリサイクル」「糞便と発酵と微生物」「糞便と健康」の3回にわたって小学生を対象に体験型教育を行なった結果,小学生達の排便・糞便・トイレに対する否定的な意識を肯定的に改変することが可能になった。また,従来型のマンションタイプの住戸であっても,窓面緑化と夜間換気を生活習慣に定着させれば,植栽が豊富な環境共生住宅と同様に涼房空間を実現することができた。 西川は,夏季に多日照,冬季は曇天・積雪で日照時間が全国最低レベルの日本海岸気候の秋田において,夏季と冬季に好まれる照度(200,400,700lx)・色温度(3000K,6700K)と窓の有無の室内条件に関する被験者実験を行った(各30名)。照明環境が8種の感情状態やストレス物理量に及ぼす影響を導き,夏季と冬季に昼光を活かした室内照明条件を提示した。 斉藤は,2006年度に引き続き,夏季の大学研究室におけるヒトの温度感覚と環境調整行動の関係を明らかにするための被験者実験を行ない,ヒトの温度感覚が有効に働くことによって,自然のポテンシャルを活かす住まい方が自発的に実践されることがわかった。また,夏季の大学食堂のトップライトの目射遮へいを行なった結果,食堂全体の温熱環境が緩和されるとともに,食堂での快適性・利用率がそれぞれ向上することがわかった。
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