2007 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域でのGISと居住実験による空き家利用システム開発の実践的研究
Project/Area Number |
17360303
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
後藤 春彦 Waseda University, 理工学術院, 教授 (70170462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 康富 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助手 (30367023)
田口 太郎 新潟工科大学, 工学部, 助教授 (20367139)
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Keywords | 都市・地域計画 / 景観計画 / 空き家 / GIS / データベース / 居住実験 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に引き続き居住実験を行い、被験者(空き家利用者)に、山梨県早川町M集落にある空き家に実際住みながら、日誌をつけてもらうことにより、集落住民との付き合いを継続的に記録した。実験終了後、所有者と利用者、およびM集落の区長にインタビューを行い日誌の内容を補足した。居住実験により、利用者の住環境に対する課題と、所有者と利用者の意識の相違、さらに、地域住民と空き家利用者との関係性が明らかになった。 利用者の住環境に対する課題としては、水道管の破裂、害虫の発生、ボイラーの故障といったトラブルにも関わらず、都市部のような管理業務を担う者の支援がなく、利用者自身で解決している。 所有者と利用者の意識の相違に関する課題としては、所有者にとって、草刈り等の管理業務や集落行事への出席の際に空き家を訪れることは当たり前の行為であるが、利用者にとっては、自分が借りている家に大家が訪れ、利用することに戸惑いがある。さらに、敷地内の草刈りという管理作業などに対する考え方の差異から、空き家所有者と利用者には、自身が所有または利用する住居とその周辺における、公的空間と私的空間の境界のあり方に対し、認識のずれがある。 地域住民と空き家利用者との関係性に関しては、地元に顔の広い上司が、家を探す段階から、移住後の集落住民との初期段階の関係づくりまで、大きく影響している。 以上より、中山間地域に於ける空き家の利活用を促進する前提に立てば、空き家に対する所有者の「自分の家」という意識が課題である。しかし、所有者にとっては長年住んできた生活拠点でもあり、その直接の対応は難しい。むしろ、その意識を前提とした対応が検討されるべきである。さらに、移住前から移住後まで、面識がある人や組織「空き家所有者」「空き家利用者」「地域住民」の三者の間に入り、サポートや問題解決することが、今後の利活用では重要となる。
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