2005 Fiscal Year Annual Research Report
蛍石型金属酸化物結晶における特異な照射欠陥形成と転位増殖機構の解明
Project/Area Number |
17360313
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安田 和弘 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (80253491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 晶 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60150520)
椎山 謙一 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30243900)
安永 和史 九州大学, 大学院・工学研究院, 学術研究員 (20404064)
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Keywords | 蛍石型構造 / 酸化物セラミックス / 安定化ジルコニア / 酸化セリウム / 照射損傷 / 電子顕微鏡 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
立方晶安定化ジルコニア等の蛍石型金属酸化物結晶は、優れた耐熱性や高温強度特性を有する上に、耐照射損傷性にも優れることから、次世代の原子炉燃料や長寿命核種の消滅処理用母相材料の有力な候補となっている。一方、安定化ジルコニアは照射条件に依存して、他の結晶には観察されていない特徴的なコントラストおよび成長過程を示す照射欠陥が形成されることが申請者らの研究により明らかにされている。本研究は、安定化ジルコニア中に観察されたこの「特異な」照射欠陥の形成・成長過程を透過電子顕微鏡観察および計算機実験により追及し、蛍石型酸化物結晶における照射損傷素過程の解明を試みると共に、蛍石構造セラミックスの耐照射損傷性の機構を明らかにすることを目的としている。以下に、17年度に得られた成果の概要ならびに研究の進捗状況を記す。 (1)電子照射した安定化ジルコニア中に形成される「特異な」照射欠陥の形成・成長過程を透過電子顕微鏡観察から、形成された照射欠陥が選択的なはじき出し損傷に起因する酸素のイオンの板状欠陥である可能性が高いと結論付けた。 (2)安定化ジルコニアと同じ蛍石型構造を有する酸化セリウム(CeO_2)に対して、200〜1250keV電子を照射し、照射欠陥の形成・成長過程を「その場」観察した。Ceイオン副格子の弾性的はじき出しは生じないと考えられる1000keV以下の電子照射下において、1/2<110>{111}の性状を有する板状欠陥が形成することを明らかにした。照射欠陥のコントラストならびに成長過程の解析から、安定感ジルコニアに形成された照射欠陥と同様に酸素イオンの選択的はじき出し損傷による酸素イオン集合体であると考察した。 (3)既存のイオン加速器の試料室に低エネルギー電子照射機能を有するイオン・電子複合照射試料室を構築した。イオン照射(申請備品)。この装置により、100keV Heイオンと30keV以下の電子を同時あるいは重畳して照射することが可能となった。
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Research Products
(3 results)