2006 Fiscal Year Annual Research Report
蛍石型金属酸化物結晶における特異な照射欠陥形成と転位増殖機構の解明
Project/Area Number |
17360313
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安田 和弘 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (80253491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 晶 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (60150520)
椎山 謙一 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (30243900)
安永 和史 九州大学, 大学院工学研究院, 学術研究員 (20404064)
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Keywords | 原子力材料 / 照射損傷 / 蛍石構造 / ジルコニア / セリア / 電子顕微鏡 / 選択的はじき出し損傷 / 電子励起 |
Research Abstract |
安定化ジルコニア等に代表される蛍石型金属酸化物結晶は、耐照射損傷性にも優れ、長寿命核種消滅処理や不活性母相燃料の母相材料として期待されている。これまでの研究から、比較的小さな弾性的エネルギーを伝達する電子照射下においては、酸素イオンの選択的はじき出し損傷が生じ、酸素イオンの集合体が形成・成長することが考察されている。平成18年度は、電子照射下における転位ループの形成・成長過程のエネルギー依存性を調べ、蛍石構造に特有な照射損傷過程を調べた。 酸化セリウム(CeO_2)に対して、1250〜3000keVの電子顕微鏡中で電子を照射しながら照射欠陥の形成・成長過程を「その場」観察した。1250keV電子照射下では、1000keV以下の電子で観察された{111}面上のバーガースベクトル<111>を持つ積層不整を伴う板状欠陥が形成・成長した。一方、2000keVおよび3000keV電子照射では、1/2<110>{111}の完全転位ループが形成されることがわかった。このことは、2000keV以上のエネルギーでは酸素およびセリウムのいずれの副格子においても弾性的はじき出しが誘起されることを示唆しており、低エネルギー電子照射では酸素イオンの板状集合体が形成されるというこれまでの考察を支持する結果を得た。1250keV以下での転位ループの成長速度は、低エネルギーにおいて大きく、電子励起によって酸素イオン格子間原子の拡散が誘起されていることが示唆された。また、転位ループの成長速度の温度依存性を解析し、空孔移動の活性化エネルギーの評価を行った。
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Research Products
(4 results)