2007 Fiscal Year Annual Research Report
蛍石型金属酸化物結晶における特異な照射欠陥形成と転位増殖機構の解明
Project/Area Number |
17360313
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安田 和弘 Kyushu University, 工学研究院, 准教授 (80253491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 晶 九州大学, 工学研究院, 教授 (60150520)
椎山 謙一 九州大学, 工学研究院, 助教 (30243900)
安永 和史 九州大学, 工学研究院, 学術研究員 (20404064)
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Keywords | 原子力材料 / 照射損傷 / 蛍石構造 / ジルコニア / セリア / 電子顕微鏡 / 選択的はじき出し損傷 / 電子励起 |
Research Abstract |
安定化ジルコニアやセリアに代表される蛍石型金属酸化物結晶は耐照射損傷性に優れることから、長寿命核種消滅処理や不活性燃料の母相材料として期待されている。これまでの研究から、比較的小さな弾性的エネルギーを伝達する電子照射下においては、酸素イオンの選択的はじき出し損傷が生じ、酸素イオンの集合体が形成・成長することを考察した。陰陽両イオンの副格子にはじき出し損傷が誘起されるエネルギーの電子照射(>1.5MeV)では、定比性の組成を有する完全転位ループが形成されることも明らかにした。平成19年度は、酸素イオンフレンケル対を含むセリア結晶中の点欠陥挙動について、分子動力学法に基づく計算を行った。以下に、本年度の成果をまとめる。 (1)Buckingham型経験的2体間ポテンシャルを用いた点欠陥挙動に関する分子動力学計算から、酸素イオンフレンケル対の再結合挙動を300Kにて調べた。その結果、第1および2近接距離のフレンケル対は全て再結合し、それ以上の距離に置いたフレンケル対は<100>方向に位置する場合のみ再結合した。すなわち、格子間イオンは、格子位置の酸素イオンと置換し、これを<100>方向に連鎖的に繰り返す現象が観察された。 (2)2から4対の酸素イオンをフレンケル対導入すると、酸素イオン格子間原子は(111)面の酸素イオン面間に集合した。(111)面における酸素格子間イオンの集合は、300および600Kにて観察され、900および1200Kでは空孔との再結合が起こった。また、酸素イオンの集合に伴って、格子エネルギーは減少し、一定値に漸近した。 (3)以上の結果は、電子照射下で形成される特異な照射欠陥が、電子の弾性的エネルギー伝達によって選択的にはじき出された酸素イオンが(111)面上で集合したものであるという考察を支持している。
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Research Products
(7 results)