2006 Fiscal Year Annual Research Report
fd遷移による量子カッティングの配位圏アクセプタサイト相関と真空紫外蛍光体の創製
Project/Area Number |
17360317
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小玉 展宏 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (90282152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山家 光男 岐阜大学, 工学部, 教授 (90159202)
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Keywords | 真空紫外分光 / 量子カッティング / 蛍光体 / 希土類イオン / 配位構造 / ダウンコンバージョン |
Research Abstract |
本研究は、(1)真空紫外4f^n→4f^<n-1>5d^1励起による可視量子カッティング発現と動的挙動、希土類ドナー/アクセプタ間のエネルギー伝達と配位圏内構造相関の解明、(2)量子効率【greater than or equal】100%の真空紫外励起蛍光材料創製を目標とする。 本年度は、配位圏内サイト数及び希土類ドナー・アクセプタ間距離の異なるGdフッ化物に、励起とエネルギー伝達イオンとなる1種,3種の希土類イオンR_1^<3+>(ドナー)/R_2^<3+>(アクプタ)(R_<1,2>^<3+>=Er^<3+>,Tb^<3+>)を共添加した低スピン4f^<n-1>5d^1準位をもつ新規蛍光体の合成、希土類イオン対R_1^<3+>-R_2^<3+>-R_3^<3+>系、R_1^<3+>-R_2^<3+>(R_1=Er^<3+>,Tb^<3+>,R_2=Tb^<3+>,R_3=Gd^<3+>)のダウンコンバージョンによる量子カッティングと動的挙動の解明、アクセプタサイト相関の基礎的知見を得ることを目的とした。 [1]1種及び3種の希土類イオン対Er^<3+>-Gd^<3+>-Tb^<3+>系、Tb^<3+>-Tb^<3+>系をもつ新規Gdフッ化物CsGd_2F_7:Er^<3+>,Tb^<3+>、CsGd_<2-X>Y_XF_7:Er^<3+>,Tb^<3+>、KGd_3F_<10>:Tb^<3+>、CsGd_2F_7:Er^<3+>,Tb^<3+>結晶を合成した。3種イオン対系CsGd_2F_7:Er^<3+>,Tb^<3+>、CsGd_<2-X>Y_XF_7:Er^<3+>,Tb^<3+>では、4f-5d真空紫外励起で最大0.3の交差緩和効率をもつ量子カッティングを見出し、交差緩和効率は、Er^<3+>/Tb^<3+>濃度に対して極大を示後、低下するという濃度依存をもつ事を明らかにした。またY固溶により交差緩和効率は低下し、その大きさから量子カッティング過程は、励起後2ステップエネルギー移動を経ることを示唆した。1種イオン対KGd_3F_<10>:Tb^<3+>、CsGd_2F_7:Er^<3+>,Tb^<3+>において真空紫外と深紫外の2つの4f-5d励起で量子カッティングが発現することを見出し、Tb^<3+>濃度の増加とともに交差緩和効率が増加し、真空紫外励起で各々、最大0.53、0.17、深紫外励起で最大,0.64、0.39を得た。2つの結晶の構造相関として、希土類イオンの最近接配位数とイオン間距離と交差緩和効率の関係を調べ、交差緩和効率は最近接イオン間距離が配位数により寄与が大きい事を明らかにした。 [2]量子カッティングの動的挙動の解明の一つとして、CsGd_2F_7:Er^<3+>,Tb^<3+>で、真空紫外4f-5d励起及び近紫外4f-4f励起での時間分解蛍光スペクトルおよび寿命プロファイルから、量子カッティング過程を経るEr^<3+>とTb^<3+>の重なる発光と量子カッティングを経ないTb^<3+>の発光の立ち上がり時間と減衰時間を2発光および1発光中心モデルを仮定して求めた。2つの発光の励起後の立ち上がり時間の差から、交差緩和および格子問エネルギー移動の時間挙動を明らかにし、量子カッティング過程が、真空紫外励起後、Er^<3+>-Gd^<3+>の交差緩和とGd^<3+>-Gd^<3+>の副格子間の共鳴エネルギー移動の2ステップエネルギー移動過程で起こるモデルで説明できることを明らかにした。 [3]超格子構造をもつAMgF_4(A=Sr^<2+>,Ba^<2+>)に希土類イオンCe^<3+>を添加した新規蛍光体を合成した。SrMgF_4:Ce^<3+>では、真空紫外域で複数の超格子構造に由来する配位構造の異なるCe^<3+>中心による励起バンドが存在することを見出した。また、F-欠陥に電子が捕獲された中心の存在が新たに見出された。一方、BaMgF_4:Ce^<3+>では、真空紫外域にCe^<3+>の結晶場分裂による5dバンドが見出された。近紫外光照射によりこの結晶は着色し、この着色は強いUV照射により局所的に生成した電子-正孔による色中心であることを明らかにし、これが新たな発光中心となることを見出した。
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Research Products
(4 results)