2006 Fiscal Year Annual Research Report
珪酸塩系のマイクロ波・ミリ波誘電体セラミックスの研究
Project/Area Number |
17360325
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大里 齊 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (20024333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 学 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (80126276)
柿本 健一 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (40335089)
籠宮 功 名古屋工業大学, 工学研究科, 助手 (40318811)
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Keywords | マイクロ波誘電体 / イオン結晶 / 結晶工学 / 誘電体物性 / 移動体通信 / 珪酸塩 |
Research Abstract |
高度情報化社会においてワイヤレス通信は様々な利用が広がり、重要となっている。中でも、ワイヤレス通信のキーである共振器、フィルター材料の研究開発が求められている。本研究では、コーディエライトの結晶構造解析と特性の評価から次の成果が得られた。 Ni、Zn、Mnイオンを固溶させた環状珪酸塩コーディエライトの結晶構造と特性との相関から、特性の発現機構を明らかにした。各陽イオン0.05モル及び0.1モル固溶したセラミックスを合成した。Niイオンを固溶した試料は、単一相を得たが、Zn、Mnを固溶した試料は、微量の二次相が観察された。つくばの高エネルギー研究所の放射光を用いて粉末X線回折強度データを収集し、リートベルト解析で結晶構造を精密化した。SiO4四面体とAlO4四面体からなる六員環が存在し、純粋なコーディエライトと比較し、六回対称に近づき、より等方的に近づくことを明らかにした。また、Bond valence sum及びCovalencyを求め、その比較検討も行った。いずれも、六員環を構成する各四面体の間での差が少なくなることを明らかにしている。 一方、各組成で円盤状の共振器を作製し、マイクロ波特性を測定した。その結果、品質係数Qfは、Zn、Mn、Ni、置換の順で大きくなることを見いだした。特に、Ni置換の場合、90,000GHz以上の高い特性を得た。共振周波数の温度係数は、-24ppm/℃から-32ppm/℃へ純粋なコーディエライトに比べて減少した。置換した元素問の著しい違いは、見られなかった。 これらの結果から、陽イオンの固溶により各四面体の差が小さくなり、結晶構造的にも六員環に近づくことが明らかとなった。特に、Ni固溶の場合、二次相もなく固溶しやすいためその傾向は顕著であった。この等方性に近づくことが高Qの原因と考えられた。
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Research Products
(10 results)