Research Abstract |
高度情報化を促進しているユビキタス社会においてワイヤレス通信は様々な利用が広がり,重要となっている。電波資源の逼迫から使用周波数は,高周波数側へ広がっている。高周波化により高品質係数(高Q)低誘電率の材料が求められている。本研究では,超高周波材料として注目を集めている低誘電率珪酸塩について研究開発を進めてきた。2005年度に,島状珪酸塩フォルステライト,ウイルマイト,複合型珪酸塩ディオプサイド,環状珪酸塩コーディエライトに関して研究を行った。2006年度は,コーディエライトにNi,Zn,Mnの固溶の効果を検討した。 2007年度は,次の3つの研究を行った。 (1)高温型ウォラストナイト(α-CaSiO_3)・α-CaSiO_3は環状型珪酸塩であり,合成条件を最適化することにより,誘電率(ε_r):7.0,品質係数(Q・f):36000GHz,共振周波数の温度係数(τ_f):21ppm/℃を得た。 CaをSrに置換したα-SrSiO_3の特性は,誘電率(ε_T):6.8,品質係数(Q・f):13000GH_z,共振周波数の温度係数(τ_T):-66ppm/℃であった。 ・CaSiO3-SrSiO3系を検討した。両端組成の広い領域で固溶体を形成し,2相共存領域(x=0.28-0.53)を確認した。 ・(Ca_<1-x>Sr_x)SiO3組成の特性は,X=0.8で品質係Qfの最大値をとることを見いだした。 (2)新規珪酸塩ソーダ・ライム・メタ珪酸塩に存在するNa_2Ca_2Si_3O_9固溶体の高温型化合物は,端成分Na_2CaSi_2O_6領域で常温で安定な相となる。そのNa_2CaSi_2O_6化合物のマイクロ波誘電体特性は,誘電率8.1,品質係数Qf=7300GH_z,共振周波数の温度係数-3.10ppm/℃であった。 (3)種々の珪酸塩の温度特性の改善 温度特性の改善は,反対符号をもった化合物特にルチルTiO_2(τ_f=450 ppm/℃)を添加して行った。フォルステライトの場合,ルチルが焼結助剤の役割をも担うことが明らかとなり,250℃の低温焼結化とルチルによる温度特性制御を可能とした。
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