2007 Fiscal Year Annual Research Report
耐酸性のあるフッ化物皮膜形成によるMg合金の表面改質
Project/Area Number |
17360359
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山本 厚之 University of Hyogo, 大学院・工学研究科, 教授 (70220449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椿野 晴繁 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 名誉教授 (00109894)
福本 信次 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60275310)
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Keywords | マグネシウム合金 / 表面改質 / 耐酸性 / 残留応力 / 微細組織 |
Research Abstract |
本年は、下記(1)〜(3)を明らかにした. (1)これまでフッ化処理のために、NaBF_4を軟鋼るつぼを使用して溶融させていた.このため、塩水噴霧試験時に表面に水酸化鉄の茶褐色の汚れが付着し、皮膜中にFeが混入していることを示していた.しかし、通常の塩水浸漬試験などでは、この混入Feによる耐食性劣化が認められなかったため、特に対策を講じなかった.しかるに、本年度、クロスカットを施した試料について塩水浸漬試験を行った結果、クロスカット部の腐食が激しいことが判明した.その理由の一つとして、皮膜中のFeとクロスカット部のMgの間で局部電池が形成されることが考えられた.そこで、るつぼをアルミナ製のものに換え、試料を溶融塩中に保持するカゴは白金製に換えた.そのようにして作製したフッ化物被覆材にクロスカットを施した試料について、3日間の塩水浸漬試験を行ったところ、クロスカット部でも、ほとんど腐食が生じないという良好な結果が得られた. (2)クロスカット部の腐食は、糸状腐食と同様な機構によることが示された.すなわち、フッ化物被覆無し材にクロスカットを施して塩水試験を行ったところ、腐食減量は軟鋼るつぼを使用して作製したフッ化物被覆材よりも少ないことが明らかとなった.この原因は、皮膜にFeが混入している場合にはクロスカット部に腐食が集中し、腐食生成物を剥がしながら深く進行するためと考えられる.クロスカットを施さない場合は、無論フッ化物被覆材の方が優れる. (3)フッ化物皮膜のTEH観察結果およびSEM-EDXによる観察・分析により、フッ化物皮膜は2重構造になっていることが明らかとなった.すなわち、マグネシウム合金基板に近い部分には、厚さ約100nm程度のMgF_2膜が形成され、その上にNaMgF_3膜が形成される.NaMgF_3(ネイバーライト)はマントルの主成分であり、耐酸性を示すが、MgF_2はそれ以上に酸性溶液に対する耐性を有すると考えられる.
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Research Products
(8 results)