2005 Fiscal Year Annual Research Report
熱誘起分子シンクロナイゼーションによる生分解性ナノカプセルの創製
Project/Area Number |
17360383
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉澤 秀和 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (20244262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 吉朗 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (90032945)
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Keywords | ナノカプセル / 生分解性高分子 / コロイド / 感温性高分子 / 高分子微粒子 / ドラッグデリバリーシステム / 分散安定性 / ポリアスパラギン酸 |
Research Abstract |
本研究では,水溶性生分解性高分子であるポリアスパラギン酸誘導体に温度応答機能を重畳した新規な高分子を種々合成し,その機能の熱誘起分子シンクロナイゼーションを利用した生体分子を内包する新規な生分解性ナノカプセルの創製を目的としている。 そこで,天然アミノ酸であるL-アスパラギン酸を出発物質として,その閉環重合によりポリコハク酸イミド(PSI)を合成した。その後,イソプロピルアミンによるイミド環の開環反応により,PSIへ側鎖としてイソプロピル基を持つPoly[α,β(_<DL>-asparate isopropyl amide)-co-succin imide](以下、IPA-PSIと略する)を合成した。全モノマー単位に対するイソプロピル基導入率を^1H-NMRスペクトルから計算し側鎖導入率とした。合成したIPA-PSIの1wt%水溶液を調製し,電子冷熱式セル温度コントローラを搭載した吸光光度計(600nm)を使用して,温度をスキャン速度1.0K/minで連続的に変化(昇温→降温)させて濁度の変化を確認した。その結果,側鎖導入率:30〜50%,Mw:8000〜12000で温度変化に対して不可逆的な相転移を示すサンプルが得られた。 降温過程で再水和がおこらず濁度が低下しなかった原因を究明するため,冷却後のIPA-PSI水溶液にNaOH水溶液を添加したところ,白濁から透明な溶液に変化した。NaOHの添加は,IPA-PSI分子内のイミド環の開環を引き起こす。イミド環の消失により微粒子が消えたことからIPA-PSI微粒子を安定化させている因子はイミド環であると考えられる。つまり,他の可逆的な相転移を示す感温性高分子は高温で疎水性相互作用でゆるく固相を形成するのに対し,強力なイミド環同士の相互作用により冷却後もその構造が凍結・安定化されていると考えられる。
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